システムエンジニアリングサービス

エンジニアの評価制度と取り組みについて--SES分科会

橋田博明

2020-02-27 07:00

 2020年1月に開催した第76回の「システムエンジニアリングサービス(SES)分科会」では、第1部は「エンジニアが集まる愛ある採用のススメ」を、第2部は「エンジニアの評価制度と取り組みについて」をテーマに議論しました。

 第1部では、採用モンスターで代表を務める鴛海敬子氏が自らの経験をもとに、エンジニア採用の秘訣についてお話しいただきました。第2部では、自社の評価制度が正しく機能しているのか、他社ではどのような評価軸を重視しているのかなど、SES事業を営む中で、各社が工夫している点や課題となっている点を話し合いました。今回は第2部の様子をレポートします。

エンジニアの評価制度と取り組みについて

 客先に常駐することが多いSESにおいて、エンジニアの働きぶりを間近に見る機会が少ないため、どのような評価基準が必要になるのでしょうか。エンジニア自身のスキルアップはもちろん、数字に置き換えられる定量評価、行動や努力を対象とする定性評価など、非常に気になる点が多いのも事実です。

 各社はどのような評価体制を敷いているのか、どのような工夫を凝らしているのか。ざっくばらんに議論した内容は下記の通りです。

  • 社内に評価制度を設けていない
    やはり、常駐型で稼働するエンジニアの評価は難しいという声が一番多かったように感じます。そうなると独断と偏見で評価しているのが実態となり、働くエンジニア社員にとって本当に良い環境なのか気になるところです。
  • エンジニア社員との面談履歴・評価シートを作成・管理
    評価制度自体は存在しないが、評価内容を管理すること自体は行っているということでした。評価時期になった際に振り返りやすくしているということなのでしょう。
  • 常駐先のマネージャーとクライアントに評価を代行
    経営側/営業側ともに、常駐先で稼働しているエンジニアの業務を目の当たりにすることが難しい状況のため、評価を一任しているという企業も多かったです。
  • 目標設定の達成度合いで評価
    いわゆる一般的な企業と同じように、目標設定を行った上で達成度合いを数値化し、評価を行う企業も多く存在しました。常駐先では見えない部分が多いですが、エンジニア自身が目標を意識できる唯一の方法ではないでしょうか。
  • 社員ランクを定めて対応
    社員ランク(自社で定めた等級)を設け、その内容に基づいて評価するパターンです。人事制度では一般的なやり方だと思いますが、技術的な指標でランクが可視化されるため、分かりやすいのではないでしょうか。
  • 評価システムを導入して運営
    評価システムを導入し、エンジニア自身にも評価項目を認識させて管理する会社もありました。

 その他では、技術系資格の取得を評価対象とする声なども挙がっていました。中には、レベル感は不明ですが論文を提出してもらって評価する企業もありました。

 エンジニアによる直談判を受け付け、それをもとに評価するという声もありました。エンジニアが自分をアピールする機会や練習にもなるので、面白い取り組みといえるのではないでしょうか。

 目標設定と行動管理は評価制度の根本であり、定量評価と定性評価をきちんと見ていく意識が企業側には必要なのだと改めて感じました。エンジニアが成長すれば、大型プロジェクトにアサインされ、開発規模も大きくなっていきます。企業からすると、そのようなビジネスの機会を逃さないよう社員の成長を描くことができるか、またそのような評価軸を持つことができるかという、業界のビジネスモデルを再考する内容だったのではないでしょうか。

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