サン・マイクロシステムズは11月9日、Javaアプリケーション統合開発環境の最新版「Sun Java Studio Enterprise 8」を発表した。サンでは、開発環境ツールに関する新戦略に基づき、同製品を無償提供する。
この新戦略により、開発ツールの「Sun Java Studio Creator」も無償となる。Sun Java Studio Creatorは、サーバ側で動作するアプリケーションのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)部分の開発生産性を向上させるJava技術の標準規格JSF(JavaServer Faces)を実装した開発ツールだ。
「コミュニティを拡大させたい」とジェフ・ジャクソン氏 |
これらの製品を無償で手に入れるには、サンが運営する開発者向け情報ネットワーク「Sun Developer Network」にユーザー登録する必要がある。Sun MicrosystemsでJavaデベロッパプラットフォーム&ストラテジー担当バイスプレジデントを務めるジェフ・ジャクソン氏は、「コミュニティを拡大するため、ツールの無償提供に踏み切った」と、新戦略の背景を語った。
Java Studio Enterprise 8は、オープンソースのJava開発環境の最新版「NetBeans 4.1」をベースに開発されたものだ。これにより、例えばNetBeansのMobilityモジュールをJava Studio Enterpriseにインストールすることもできる。
主な新機能としては、複数の開発者による共同作業を想定したコードの同時編集・参照機能や、インスタントメッセージなどのコラボレーション機能がある。また、UML(Unified Modeling Language)モデリング機能や、負荷ジェネレータを内蔵したプロファイラ機能も備えている。
Java Studio Enterpriseは、バージョン7では開発者1人、ライセンス1つあたり年間28万4000円、または社員100人以上の場合は社員1人、ライセンス1つあたり年間550円にて提供されていた。これを無償とすることで、サンではどこから収益を得ることになるのか。米Sun Microsystemsデベロッパツール担当マーケティングディレクターのダン・ロバーツ氏は、「ツールのオペレーションやトレーニング、サポートなど、有償のメニューも用意している。また、ツールを無償で提供することで、Java Enterprise Systemなどのランタイム製品の拡販につなげたい」と述べた。