IT業界全体でおこっているシステム開発を容易にするというトレンド、サービス指向アーキテクチャ(SOA)が開発側のトレンドとすれば、ビジネス側のトレンドは、ビジネスプロセス管理(BPM)、ビジネスルール管理(BRMS)だろう。3月21日、ILOGがフランス・パリで開催したプレスイベントでは、ビジネスプロセスから見た今後のITシステムについて、アナリストやILOG幹部が話をした。ここでは、そこで行った取材を通してビジネス側のトレンドについてまとめてみよう。
BPMを補完するBRMS
まずは、BPMとBRMSの違いを整理しておこう。BPMは、ビジネスプロセス管理という言葉どおり、業務上のプロセスの流れを管理するもので、BRMSはさらに細かい業務上のルールを管理するシステムとなる。ルールとは、「もし4人乗り乗用車なら、保険掛け金は最低月額50ドルとする」といったもので、BRMSは、この「4人乗り乗用車」や「月額50ドル」の部分をビジネス担当者自らが設定することができる。ILOGはこのBRMSツールを提供しており、BPMとBRMSとは補完の関係にあるという。

このBRMSは注目され始めたばかりの分野。当初からこの分野を追跡している調査会社のForrester Researchのシニアアナリスト、Henry Peyret氏によると、AI(人工知能)を用いたBRMSの研究は1980年代後半より進んでおり、1990年代より、ILOGをはじめとした製品が登場したという。
どうしてBPMやBRMSが必要なのか?--この問いに対し、Peyret氏は次のように答える。
「まずITシステムで起きている流れとして、アジリティへの要求がある。これまで企業は、生産性、品質/リスク、の2つを評価すればよかったが、アジリティは新しい評価要素といえるだろう。これからの企業は、生産性、品質/リスク、アジリティの3つの間での正しい妥協点のようなものを探ることになる」(Peyret氏)
BRMSはビジネスユーザーがビジネスルールを容易に作成/変更できるもので、アジリティ実現を支援する有力なツールとなる。
「BRMSにより、自社にあった妥協点を選択できる。しかも、タイミングにあわせた変更も容易に行える。リスクよりも生産性を重視したい場合はそのようにポリシーを変更し、品質を高めたい場合はそれに合わせたルールを設定する。これを、アプリケーションを変更することなく行える。これは、これまでにない重要な変化といえる」とPeyret氏。「真のアジリティとは、単なる高速性ではなく、3つの評価点の間で時と状況に応じた正しいバランスを見出しすぐに反映できること」と続けた。
Peyret氏はまた、アジリティというトレンドを加速する要因として、法規制、経済のグローバル化、タイムツーマーケット、カスタマイゼーション、パーソナリゼーションも挙げている。グローバル化により、企業は多くの市場で展開するようになったが、全製品が全市場にフィットするわけではない。市場性を取り込んだビジネスルールのチューニングにより、効率よく適切な製品をターゲット市場に投入できる、とPeyret氏は見ている。
だが、このアジリティには課題もある。「業界のだれもがアジリティといっているが、実はアジリティはまだ正確に定義されていない」とPeyret氏。「これはITだけなのか、営業などビジネス側のことなのかがあいまいだ。もちろん、これを評価する指標のようなものも非常に少ない」と言う。
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