「ソフトウェア開発は、ほかの分野に比べて見えにくい。JavaやXMLなど、テクノロジは進化を続けているのに、ソフトウェア開発の現場は昔のままのやり方で、どんなにお金をかけて最新技術を導入しても、ソフトウェア開発の現場はよくならない。それは、現場の問題にミートしていないためだ」
こう話すのはチェンジビジョンの代表取締役社長である平鍋健児氏だ。2006年2月22日に設立されたばかりのチェンジビジョンでは、企業や組織、そしてシステム開発プロジェクトの現場が抱えるさまざまな課題を“見える化”により解決することをビジョンとしている。
チェンジビジョンという社名には、“見える化”による革新的なビジョンを実践することで、顧客のビジネスを変化させていくことはもちろん、チェンジビジョン自身も常に変化し続けるという思いが込められている。
“見える化”との出会いとビジネスへの実践
“見える化”との出会いについて平鍋氏は、次のように語る。
「3年ほど前、前職で“ネクストビジネス”と呼ばれる部署を任されていた。そのときの事業計画の中に“見える化”という言葉を使ったのが最初だったと記憶している。当初は、何をもって“見える化”といえるのか、これといった具体的なものはなかった。しかし、“かんばん”方式など進捗管理の手法を実際に現場に取り入れていくと“これはいける”と感じた」(平鍋氏)
同氏は、「昔からオブジェクト指向オタクだった」と話すが、これまでは技術が中心にあり、その技術を使うプロセスを実現することでシステム開発プロジェクトにおける問題を解決できると思っていたという。
しかし、“見える化”を追求していくうちに、「人が中心にあり、そのまわりのプロセスを実現するために、さまざまな技術を使うのが問題解決のための正しい手法だと気づいた」(平鍋氏)と話す。
「問題を解決するのは“技術”ではなく“人の力”だと気づいた。技術は問題を解決する人の力を助ける道具でしかない。人が問題を解決するためには、問題が見えることが重要になると考えた」(平鍋氏)
同氏はさらに、「ソフトウェア開発のライフサイクル全体を“見える化”することが、チェンジビジョンのゴール。企画からモデリング、コーディング、テストなど、すべての工程での“見える化”を目指している」と話している。
現在、ソフトウェア製品といえば、圧倒的に米国製の製品を使うことが多い。しかし平鍋氏は、「米国製の開発ツールは基本的に大雑把だ。トップダウンで“これを使え”的に導入されるために、現場の不評を買うことが多い。管理されるためのツールなど、誰も使いたくはないのが実情だ」と話す。
「現場が導入したいと考え、かつ日本のお家芸でもある“見える化”を組み込んだツールを提供したいと思ったのが会社を設立したきっかけ。このようなツールは、米国からは出てこない。そこで日本で開発し、世界に向けて展開していきたいと考えている」(平鍋氏)
こうした発想から誕生したのがシステム開発プロジェクトの状態を“見える化”する「TRICHORD(トライコード)」であり、システム開発を“見える化”するモデリングツールの「JUDE(ジュード)」である。