サン・マイクロシステムズは10月30日と31日の2日間に渡り「MySQLユーザコンファレンス2008」を開催した。これに合わせたプレス向けラウンドテーブルにおいて、同社のMySQL ビジネス統括本部 統括本部長である矢崎博雅氏は、あらためてSunがMySQLを買収した狙いについて語った。
なぜSunとMySQLなのか
矢崎氏は基調講演において、「Sunは今後もオープンソースに対する注力を緩めず、MySQLはオープンソースのままであり続ける」と語っている。ラウンドテーブルの場でもそれを強調した上で、ではなぜSunがMySQLを買収することになったのかという点について説明した。
まず大前提として挙げられたのが、今回の買収は10年先を考えてのものであるということだ。長い目で見ればシステムは変化し、データベースのあり方もこれまでと大きく変わってくる。そこでSunは、同社のオープンソースに対する取り組みの中にデータベースを取り込むことが、イノベーションのために大きな意味を持つと判断したという。
「ご存知のように、SunではSolarisおよびJavaをベースとした開発系ユーザを多く抱えています。データベースを取り込むことで、それらのユーザに対してさらなる支援を行うことができると考えました。同時に、Web 2.0に代表されるウェブを利用した基幹系ビジネスを確実なものにしたいという狙いもあります。このような新しいビジネス戦略のために、MySQLを統合することに大きなメリットを感じたわけです」(矢崎氏)
一方でMySQL側から見たメリットとは何だろうか。
同氏は市場におけるMySQLの価値の急騰を挙げ、「将来の成長を考えた場合、従来のままでは体制面、資金面で非常に厳しいものがあった」と指摘する。また、世界的な展開に対して各国におけるサポート拠点をより充実させる必要にも迫られていた。Sunとの統合によってこれらの問題を解決できるだけでなく、豊富なハードウェア資源を手に入れることができるという点も大きな魅力だったという。