EMCジャパンは1月26日、ハイエンドストレージ「Symmetrix VMAX」向けの新機能を発表した。新機能により、重要な業務アプリケーションを安全に仮想化できるという。
EMCジャパン テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 統括部長の糸賀誠氏は、「仮想化は、コスト削減を目標とする段階から、サービス品質の向上を目指す段階へと進化しており、OracleやSAP、Microsoft Exchangeといったミッションクリティカルアプリケーション領域でも仮想化の採用が進んでいる。こうした中、仮想化の要件として、効率性はもちろんのことセキュリティや保護、可用性、スケーラビリティが求められるようになった」と述べ、「これらの要件を満たすのが、新しい機能を搭載したSymmetrix VMAXだ」とした。
Symmetrix VMAXの新機能は主に3つ。自動階層化の最新バージョン「FAST VP(Fully Automated Storage Tiering with Virtual Pools)」と、無停止でアレイ間の連携が可能となる「Federated Live Migration」、アレイベースのデータ暗号化機能「VMAX Data Rest Encryption」だ。
FAST VP最新バージョンの特徴は、従来数十Mバイトから1Gバイトのブロック単位で階層化していたデータを、8Mバイトまで細分化して自動階層化することだ。糸賀氏によると8Mバイト単位での自動階層化というのは「業界最小の粒度」という。小さいブロック単位でデータを分析し、必要なデータのみ低負荷で移動できるため、「パフォーマンスを約40%向上させつつ、約40%のコスト削減が可能。電力消費量も約75%削減できる」(糸賀氏)としている。
Federated Live Migrationは、アレイベースの組み込み技術で実現するアレイ間ストレージフェデレーション機能で、アプリケーションを止めることなくSymmetrixストレージアレイ間のデータ移行が可能となる。「通常VMAXクラスのストレージを導入する場合、データの移行は1回では終わらず、約半年かけて2回システムを停止して移行することになるが、この機能を使えば、1時間で540万ドルともされる停止に伴うコストをゼロまで削減できる」と糸賀氏。同機能はVMAXに標準搭載されるため、追加ライセンス料は必要ない。
VMAX Data Rest Encryptionは、ハードウェアベースの新たな暗号化機能で、アプリケーションのパフォーマンスに影響を与えることなくデータを暗号化し、仮想環境やクラウド環境におけるストレージ共通プール内でのセキュリティを確保する。RSA Data Protection Managerが組み込まれているため、外部鍵管理システムは不要だ。ディスクドライブ単位で暗号化ができ、ファイバチャネルやSATAなどすべてのドライブをサポートするとしている。
糸賀氏によると、SymmetrixはAT&T、ESPN、American Expressをはじめ、すでに全世界で数百以上のユーザーにて導入の実績があるという。国内ユーザーは、「名前は明かせないが、すでに2ケタの企業で導入されている」(糸賀氏)とのことだ。