セールスフォース・ドットコムは7月7日、都内にて「Success On Demand Tour 2006 Summer」を開催した。1500名の申し込みがあったというこのイベントでは、セールスフォースおよびパートナー企業が提供するソリューションを紹介する展示会場や、数々のセミナーが開催された。
今回のイベントには、米Salesforce.comの会長 兼 最高経営責任者(CEO)、Marc Benioff氏が来日、基調講演を行った。その後同氏はプレス向けのセッションにて、記者からの質問に答えた。ここではその様子をレポートする。
--ASP(Application Service Provider)、SaaS(Software as a Service)、オンデマンドなど、(Salesforce.comの提供するサービスは)さまざまな名称で呼ばれているが、こうした言葉の意味を明確に分けて考えているのか。
記者からの質問に答えるSalesforce.comのMarc Benioff氏
ASPもSaaSもオンデマンドも、言葉は違ってもすべて同様のものだ。ASPかオンデマンドかという区分けは重要ではない。Yahoo!も、Yahoo! MailなどのサービスをASPで提供しており、GoogleもGMailや表計算ソフト、ワープロなどのソフトウェア機能をサービスとして提供している。つまり、ASPやSaaSなどの言葉の違いなど重要ではない。顧客を混乱させるだけだ。大切なのは、インターネットの重要性が増してきたということで、ソフトウェアをCD-ROMで販売するという古いモデルから、新しいインターネットのモデルに転換しつつあるということだ。従来のソフトウェア産業は終結しつつある。CD-ROMからSaaSモデルに変わらなくては生き残れない。
--Salesforce.comのデータセンターは現在米国のみとなっているが、海外にデータセンターを置く予定はあるのか。
米国のデータセンターは、東海岸と西海岸の2カ所に設置しており、ミラー形式にすることで障害対策をとっている。海外でのデータセンターの設置も検討中だが、時期は決まっていない。日本でのビジネスの成功の度合いによっては、日本のデータセンターの設置も考えるつもりだ。
--エンタープライズソフトウェア業界ではM&Aが活発だが、Salesforce.comは今後も単独でビジネスを進めるのか。買収を持ちかけたり、逆に買収されたりといったように、他社と一緒になる可能性はあるのか。
新しい企業や技術の買収は常に考えている。4月には、ワイヤレス技術開発企業のSendiaを買収したばかりだ。この買収により、モバイル版のAppExchangeが可能となる。
--SAPやNetSuiteなどもSaaS市場に参入しているが、こうした企業との差別化ポイントとなるのはどこか。
まずは製品を強化することで差別化を図る。日本でのビジネスにおいても、日本語のサポートはもちろんのこと、日本のユーザーがテストすることで品質を保っている。われわれは日本市場にコミットしており、ユーザーの中にはみずほ情報総研やゴルフダイジェスト・オンラインなど、純粋な日本企業も多い。こうしたユーザー企業のビジネスの成功を支援すべく、Salesforce.comはこれからも技術革新を続ける。
具体的には、営業やマーケティング関連の機能を強化するなど、Salesforce.comの柱であるCRM関連のサービスを拡充する。また、プラットフォームとしての商品価値も高めたい。ユーザーがプラットフォーム上でアプリケーションを開発するための環境を整えることで、Salesforce.comはより使いやすいものになる。それがAppExchangeだ。
われわれは、Googleのような表計算ソフトを提供することはできないし、SkypeのようなすばらしいIP電話サービスを開発することもできない。しかし、プラットフォームを提供することで、こうした専門分野に強い企業と組み、統合されたサービスが実現できるのだ。わが社だけですべてができるとは思っていない。AppExchangeは、他社の技術やソフトウェアとの協力によって成り立っている。AppExchangeは完全にオープンなもので、提供できるサービスの内容に限界はない。
2005年にMicrosoft最高技術責任者のRay Ozzie氏が、同社の社員に送ったメールの内容を見ても、彼自身MicrosoftがSalesforce.comに遅れを取っていることを認めている。なぜMicrosoftが遅れを取ってしまったのか。それは、インターネットを使った新しいモデルで顧客の成功を支援する方法を考えなかったためだ。
Microsoftはこれからその遅れを取り戻す必要があるが、そのためには古い体制を壊してでも新しいことに取り組むべきだ。Bill Gates氏の引退も、Microsoftがソフトウェア企業からサービス企業へと転換しなくてはならないことを意味する。Microsoftは昔、GoogleやSalesforce.comが成功するはずがないと見ていた。それが今や、こうした企業に遅れを取っているのだ。この動きは大変興味深い。
関連情報
-
セールスフォース・ドットコム、オンデマンドアプリケーション導入を加速する「Salesforce Sandbox」を発表
セールスフォース・ドットコムは、新サービス「Salesforce Sandbox」を発表。オンデマンドアプリケーションのカスタマイズ、新規構築、展開のプロセスを効率化するなどの仕組みを提供する。 - セールスフォース、AppExchangeを日本でも発表--パートナーより20以上のアプリが
- セールスフォース、MS Office連携プログラムの開発ツールを発表
- セールスフォース、AppExchangeのアプリが無制限に使えるサービスを開始
- 総合ソリューションをASPで提供するネットスイート:ソフトウェアのオンデマンド化を推進するASP(2)
- ビジネスウェブの中核企業を目指すセールスフォース:ソフトウェアのオンデマンド化を推進するASP(1)
- セールスフォース、ハイエンドサービス「Unlimited Edition」の提供を開始
- SAP、ASP形式のCRMサービスを発表
- セールスフォース、オンラインソフトウェア市場「AppExchange」を始動
- MS、「Dynamics CRM 3.0」を発表--パートナー企業によるホスティング提供も可能に
- Salesforce.com
「通信」 の新着情報
-
RSUPPORT、簡易VPN機能を搭載した遠隔コントロールツールの新製品
RSUPPORTは、リモートコントロールツールの新製品「RemoteView 5」を発表した。リモートアクセス、リモート監視、リモート保... - NTTPC、パンデミック対策向けリモートアクセスサービス追加
- ノーテルのメトロイーサネット事業、Cienaが買収へ
- OKIネットワークス、スモールオフィス向けIPテレフォニー製品「IPstage 1000」を発売
- TIS、企業システムのクラウド対応に向けたITインフラ最適化サービス「IT@VSOP」を提供開始
- 通信 一覧へ »
「インターネット」 のバックナンバー
-
915万人が使う「JAポイントシステム」はプライベートクラウドではないのか?
日経新聞の経済教室は、読売新聞主筆の渡邉氏も日課としてスクラップしているという。その経済教室に「クラウドコンピューティング」をテーマにした記事が掲載された。筆者はその切り抜きをたずさえ、クラウド関連イベントの打ち合わせでJA全中の佐藤氏を訪ねた。 -
BMCとCA、セールスフォースの「Force.com」上でアプリケーションを提供
-
IBMの社内向け翻訳ソフト「n.Fluent」--クラウドソーシングで精度向上図る
-
「プライベートクラウドは真のクラウドサービスとは言えない」--セールスフォース幹部
-
分散ファイルシステム「Hadoop」導入支援でPFIとぷらっとホームが協業
- インターネット 一覧へ »
-
CRMの限界を超える!「顧客経験価値マネジメント」実現の5段階
- 【導入事例集】多業種から評価されているWeb会議システム、24社の導入事例をご紹介
- 【日産自動車:BI導入事例】連結対象の36社からの情報を元に車種別損益管理を実現
- ストレージ問題の課題に対する解決方法
- iPhoneをビジネスで活用する時代へ〜ビジネス&モバイルのミライ〜
- 最上級のブレードがこれだ!導入実績豊富な製品で構成され、仮想化環境に最適化し...
- 【顧客事例】日本製紙グループ様〜グループの「データ分析力」を向上、現場の「見...
- 業界トップシェアを誇るWeb会議システムが選ばれている理由
- 日本モバイルインターネット端末市場分析 〜2008〜2012年のMID及びスマートフォン...
- データベースにおけるデータ管理の最新手法
企画特集
-
企業ITシステムの企画、構築、運用のイロハ
戦略的なITシステムのために、今考えるべきポイント -
高まるiSCSIストレージへの注目度
ストレージシステムの4つの課題とiSCSI導入のメリット -
マネジメントの「コラム」と「コネタ」
今日のキーパーソンは誰? -
グリー、3人のエンジニアが語る仕事への想い
連載第2話、元SIerに聞くリニューアルと開発の舞台裏 -
【最終警告】パンデミック対策特集
サービス品質を保証するためのリスクマネジメントとは -
大丈夫?あなたの会社のセキュリティ対策
中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティを考える -
電力に"ふた"をする独自の省エネ機能とは!?
動的に電力割り当ても可能なHPの最新鋭ブレードに迫る -
100万円で実現!中小企業の情報漏えい対策
中小企業の課題!?セキュリティ管理者不在でも大丈夫 -
―エン・ジャパン厳選求人☆毎週更新―
ハンゲームの社長が語る・人材とサービスの在り方 -
J-SOX法制定により内部統制の整備が急務に
重要性高まるActive Directoryの課題と対処法を公開中 -
急増するオンライン犯罪への解決策!
オンラインサービス保護ソリューション -
容量制限によるメール消去は一切無し!
全てを保存するメールセキュリティSaaSが登場
-
9. 出荷準備はOK?
この3分間のビデオは、あなたがソフトウェアを出荷する前に、データレー... -
10. Parallel Debugging Extensions
この3分間のビデオは、並列アプリケーション内のそうでなければ発見しが...
新着企業動向
-
アズジェント、ブルーコートシステムズ社とディストリビュータ契約を締結
アズジェント -
BtoBマーケティングセミナー:リード獲得を増やすWebサイト構築事例紹介セミナー【参加無料】
マクニカ -
【EMC Mail News】シスコ、EMC、VMwareの3社が新しい連合組織「Virtual Computing Environme...
EMCジャパン -
メールセキュリティSaaS『Mail Luck!セキュアタイプ』
NTTPCコミュニケーションズ(ネットワーク事業部) - 企業動向一覧へ»
