「花粉症の人が多く住んでいるのはどの地域?」「この地域で強い携帯電話キャリアはどこ?」……ピツニーボウズ・マップインフォ・ジャパン(マップインフォ)は、インターネットリサーチと地図情報システムとの組み合わせによる、エリアマーケティング支援ビジネスへの参入を計画中だ。
ヤフーの提供するインターネットリサーチサービス「Yahoo! リサーチ」に参加する約89万人の「Yahoo! リサーチ・モニター」におけるサブパネル情報(定期的に調査される各種の属性情報)を分析。マップインフォの位置情報分析システム(GIS)にプロットすることによって、より鮮度の高いマーケティングデータとして利用しようとする試みという。
マップインフォでは、そのサンプルとして、Yahoo! リサーチ・モニターの中から「花粉症の症状がある」と回答した人のデータを、郵便番号データを基準に地域別に分類。地図上にプロットし、日本における花粉症患者の地理的分布状況の傾向を視覚化したマップを公開している。
この分析サンプルによれば、花粉症の症状があると回答した人は地域的な偏りが見られ、特に太平洋岸の大都市郊外における割合が高い傾向があったという。従来、このような分析を行う際には、国勢調査などの統計情報をデータとして利用していたが、情報の鮮度などの面で限界もあったとする。
ピツニーボウズ・マップインフォ・ジャパン、製品企画担当マネージャーの真野栄一氏は、「消費者の生活スタイルを濃く反映し、情報の鮮度が高いインターネットリサーチのサブパネル情報を地図と組み合わせることで、より手軽に、十分な精度のあるマーケティングリサーチが行える可能性がある」とする。例えば、前出のサンプルひとつとっても、医院や薬局の立地、薬局やコンビニエンスストアでの入荷商品の注文見当など、さまざまな活用例が考えられる。
インターネットリサーチで得られるデータの統計的な妥当性については議論もあるが、統計的な有意性を必要とするリサーチについても、「その前段階の調査として、“あたりをつける”には必要十分な精度は実現できるだろう」(真野氏)という。このリサーチをベースに、GISの本格導入を検討する企業に対しては、同社製品である「MapInfo Professional」などの導入支援も行っていく。
今後、同社では「Yahoo! リサーチ・モニター」のサブパネル情報で提供されている、金融、医療、消費財、住宅、ライフスタイルなどのさまざまな情報に対して、同様の分析を実施する予定。地域傾向を数値化した地理的データを、法人向けに製品化する検討を続けていくとしている。