日本AMDとATIテクノロジーズジャパンは7月27日、共同で記者会見を開催し、24日に発表された米AMDによるカナダのATI Technologies買収について詳細を説明した。
2人並んで壇上に立ったのは、米AMD 執行副社長 ワールドワイドセールス/マーケティング最高責任者のHenri Richard氏と、ATI Technologies ワールドワイドセールス担当 シニアバイスプレジデントのRick Hegberg氏。お互いにこの買収がとても友好的ですばらしいものだとアピールした。
まずAMDのRichard氏は、今回の買収について「両社が一緒になることで、シェアが拡大できるのみならず、1社でカバーできる領域が広がる。また、これからも両社はオープンプラットフォーム、オープンスタンダードで事業を進め、顧客の選択肢を広げる」と述べた。
一方、ATIのHegberg氏は、「AMDはサーバやPC領域で力があり、ATIはデジタル家電分野に強い。またAMDは、ATIにはないエンタープライズ向けのセールス組織もあり、ATIのワークステーション向け製品“Fire GL”を拡販するいいきっかけになる。お互い相互補完的に力を発揮でき、相乗効果は計り知れない」とした。
Richard氏はさらに、「ATIの買収にあたって、ATIの製品ポートフォリオを見たが、すべての製品において相乗効果がある」とつけ加えた。
また、新興市場にも注力したいとRichard氏は述べ、AMDが目標として掲げている「2015年までに世界中の50%の人がインターネットにアクセスできるように」という考えを実現させるためにも、ATIの得意分野が強みとなるとした。さらに、デジタルホーム向けプラットフォームの「AMD LIVE!」でも、ATIのビデオプロセシング技術が大きく貢献すると述べた。
両社は、合併の効果を証明する製品を2007年には発表するとしている。2008年以降には、GPU(Graphics Processing Unit)やビデオプロセス、チップセットなど、「シリコンレベルでの革新が実現する」(Richard氏)とした。
この買収については、ATIがAMDのCPUに縛られるのではないか、その結果売上が減少するのではないか、といった否定的な見方もあるが、Richard氏は「ATIがAMDのCPUのみをサポートするわけではない。われわれが顧客の選択肢を狭めることはしない。今後もインテルプラットフォームのサポートは続ける」と述べた。「AMDは、フェアでオープンな競争を望んでいるのだ」(Richard氏)
また、Hegberg氏も「Intelに対するグラフィックビジネスは今まで通りだ。投資する額やビジネスの内容に変更はない」とした。製品ロードマップの見直しについても「全くない。顧客の要求に応えるためにマイナーな変更はあるかもしれないが、それはこれまでにも起こっていたことだ。買収が要因となって変わることは何もない」とした。
ATIのブランド名についてもRichard氏は、「ATIのポートフォリオの中で、ブランドは技術や人と同程度に重要なもの。マーケティング最高責任者として、この財産を今後も守っていきたい」と述べた。
買収後にレイオフなどが発生するかも気になるところだが、Richard氏は「優秀な人材を見つけることは、顧客を見つけるより難しいこと。今回の買収は、優秀な技術者やマーケティング担当者など、さまざまな分野でいい人材が集まるという点でもすばらしいものだ」としている。米国およびカナダのオフィスの統合もないとしており、ATIはこれまで通りトロントに拠点を置く。
日本オフィスの統合は、買収が正式に完了した後に検討する。なお、今回の買収について、日本の両トップが正式な知らせを受けたのは、ATIテクノロジーズジャパン 代表取締役社長の森下正敏氏が「2週間前」としており、日本AMD 代表取締役社長のDavid M. Uze氏は「24日(発表当日)だ」と答えていた。