富士ソフトは3月18日、マイクロソフトとの協業を強化すると発表した。2010年度にマイクロソフト製品関連の売上高として20億円を見込むほか、2012年度には70億円に拡大する計画だ。
具体的な協業強化の内容としては、マイクロソフトソリューション専門部門「MSユニット」を2010年1月に新設したほか、4月1日から本格稼働する「マイクロソフトソリューション&クラウドセンター」の設置、マイクロソフトソリューションのサービスパックメニューの大幅拡充(4種から13種へ)、マイクロソフトのクラウドソリューションであるBPOS(Business Productivity Online Suite)の販売体制を全国規模で構築するといったことが挙げられている。人員面では、マイクロソフト認定資格保有者を現在の1000人体制から、2012年度には2000人体制に倍増させるのに加えて、マイクロソフト認定コンサルタントを2010年度に20人、2012年度までに40人育成する。
そのほか、マイクロソフトと共同で、マイクロソフト製品およびサービスに関するセミナーを全国で年間30回開催。両社のすべての拠点において、協業に関する担当者を配置して、全国規模で事業を推進する。
富士ソフトの代表取締役社長である白石晴久氏は、「特定のベンダーを対象にした組織としては、当社で最大規模となる100人体制でMSユニットを設置した。マイクロソフトはオンプレミスで圧倒的な存在感を発揮しているが、BPOSおよびWindows Azureによってクラウド環境でも存在感を高めてきた。クラウドと組み合わせたハイブリッド型サービスの提供も可能であり、顧客視点で最適なシナリオを構築するという点では、当社の狙いと合致する。今回の発表は、クラウドおよびオンプレミスの両分野において、マイクロソフトとの協業を強化するものであり、選択肢を広げて顧客ニーズに応える、ビジネスを拡大するという点で大きな意味がある」とした。
また、専務取締役の吉田實氏は、「営業、技術部門と、20社のグループ会社による全国ネットワーク、マイクロソフトのネットワークをあわせて顧客対応を図る体制を確立する。さらに、ソリューションサービスパックメニューでは、価格がわかやりすく、期間を短縮して導入できる点がメリットとなる。最新ソリューションとサービスパックメニューの組み合わせを武器にしていく。さらに秋葉原オフィスの7階に設置したマイクロソフトソリューション&クラウドセンターは、対話によるブリーフィングを行う解説ゾーンと、実際に体感する検証ゾーンで構成される。議論をして、導入効果を体験することで、マイクロソフト製品を活用した業務改善を提案できる」とした。
マイクロソフトソリューション&クラウドセンターでは、マイクロソフトの製品、サービスの導入を図ることを目的に、セミナーや最新製品のデモンストレーション、実際の操作を通じてシステムの導入効果を体感し検証するためのプログラムの提供などを行う。富士ソフトでは、大阪オフィスにおいても同センターの設置を検討しているという。
2010年度の20億円の売上高計画に占めるクラウドビジネスの比重については、「顧客の要求によって大きく変わるため、現時点では明確にはできない」(富士ソフト常務執行役員の河野文豊氏)としているが、2012年度の70億円の事業規模に向けては、オンプレミスビジネスよりも、ハイブリッド型を含めたクラウドビジネスが原動力となるのは確かだろう。BPOSの販売では、2010年度に50件、2012年度には200件を予定しており、まずはこのあたりからクラウドビジネスの実績を獲得する考えだ。