日本IBMは8月10日、「IBM Global CEO Study 2010 Japan Report」の内容を発表した。この「Japan Report」は、IBMが全世界のCEOを対象に調査を行ってまとめたIBM Global CEO Study 2010を日本のCEOの視点で見直し、日本のCEOの傾向や特徴を、世界全体や韓国と比較して再構成したものだという。
日本IBM執行役員、グローバル・ビジネス・サービス事業ストラテジー&トランスフォーメーション担当の金巻龍一氏は「4回目の調査となる今回は、世界と日本のCEOで大きく異なる結果が出ており、なぜそうした結果が出たのか掘り下げてほしいというリクエストをもらった。“日本のCEOが遅れている”という指摘もあるが、むしろ日本のCEOは、事業環境の変化の方向性、自社が取り組むべきことがわかっており、現在の状況を正しくみているのではないか」とJapan Reportをまとめた経緯を説明した。
IBM Global CEO Study 2010では、日本のCEOが、新興国市場への経済シフトに対する対応と、それを担う人材育成を重要な経営課題と捉えていることが浮き彫りにされていた。Japan Reportでは、「日本のCEOは、世界のCEOよりも外部環境変化に対する危機感が強く、特にグローバル化、そして成熟市場から新興市場へのシフトに適応する必要性を強く感じている」と総括。自社に最も影響を与える外部要因として、グローバル化を挙げた日本のCEOの割合は41%となり、世界のCEOの23%の約2倍に達していることを示した。
また、今後5年間で「成熟市場から新興市場へのシフトが自社に影響を与える」と回答した日本のCEOは73%にのぼり、全体の50%と比べて約2割も高くなっているという。加えて、日本のCEOは環境や社会問題に対する関心の高まりが自社に影響を与えると見ていること、人材不足を懸念していることなどが浮き彫りになる一方で、「将来動向について予測できない」と回答した割合は38%となり、世界のCEOの65%、韓国の92%に比べて低い結果になったという。
「“従来とは構造が異なる”としたCEOは、日本では82%、世界では53%。また実質的には複雑だとは思っていないというCEOが日本には多いという結果がある一方で、意外だったのは、複雑性を単純化して考えるというCEOが日本に多いことだった。インタビューの中からは、変化の方向性はわかっているが、それがいつ起きるかがわらない、対策を実現することが難しいという回答が多く聞かれた。その点では方向性に関しては、日本のCEOは確実に捉えているとも言えるだろう。また、成長著しい韓国の企業は予測できないことに対して、スピード経営で対処しているともいえる」(日本IBM、グローバル・ビジネス・サービス事業の池田和明氏)
戦略実現の意思決定スタイルとして、韓国のCEOの64%が「迅速な意思決定」を重視していると回答。これは、日本のCEOの47%、世界の32%を大きく上回っている。