米Citrix Systemsの社長兼CEOであるMark Templeton氏が来日し、8月24日に同社の事業方針などについて説明した。
Templeton氏は冒頭、「我々は2001年の時点で、スマートフォンのようなコミュニケーションができ、タッチスクリーンで操作でき、ニュースやメッセージといった必要なものを表示できる端末を考え、それを『バーチャルワークプレイス』としてビデオにした。この10年間、シトリックスはこれを基盤にして事業を成長させてきた。それが“Collaboration as a Service”“Desktop as a Service”“Infrastructure as a Service”を提供する現在のシトリックスの姿につながっている」と述べた。
「シトリックスは、バーチャル・コンピューティング・インフラストラクチャによって、クリエイティブな作業を行うための様々なOSを搭載したPC、アラート用としてすぐにつながる携帯電話、さらにはiPadのような新たなデバイスにまで対応している。近いうちに、BlackBerry、Windows Phoneにも対応できる。デジタル時代のユーザーは“何でも”“いつでも”“どこでも”という要求を持っているのが特徴。シトリックスのバーチャル・コンピューティング・インフラストラクチャは個人が所有する多種多様なデバイスをサポートするものであり、将来に向けて重要な技術になる」(Templeton氏)とし、Citrix Receiverを利用してiPad上でPowerPoint 2010を動作させたり、日本で未発売のデルのスマートフォン「Dell Streak」を使ったデモを披露した。
Tenpleton氏によれば現在、毎日1億人以上がシトリックスの仮想デスクトップとアプリケーションを利用し、すべてのインターネット利用者の75%が「NetScaler」を利用していることになるという。また2009年においては、新たに仮想化されたサーバのうち11%が「XenServer」を使っており、2010年にはこれが18%に拡大すると見込まれているという。
Templeton氏は今後のコンピューティングの世界で重視される要素として、「個人の生産性向上」「エンタープライズ分野におけるセルフサービス」「柔軟に従量制で課金される仕組み」の3点を挙げた。
特に、エンタープライズ分野におけるセルフサービスについては、「多くの人はセルフサービスを活用して生活している。銀行ATMや、駅での切符購入、駐車場の料金の支払いなどはすべてセルフサービスとなっている。ウェブショッピングも同様にセルフサービスだ。しかし、エンタープライズコンピューティングの世界ではセルフサービスにはなっていない。これからはこの考え方が重要になる」とし、「デバイスの管理は重要なことだが、iPhoneやiPadを自分で管理している人が多いように、デバイス管理という考え方はシトリックスにとっては成長分野ではないと考えられる。これもセルフサービスの流れにつながるものであり、その分野を得意とする企業と連携するのがいい」と語り、仮想環境下におけるデバイス管理の提供には、自らは乗り出さない考えを示した。
一方、XenServerについては、「健全に、そして急速に進化しており、顧客からの満足度も高い」と前置きしながら、「今後も、パフォーマンス、セキュリティ、管理の容易性といった点で投資を続けていくほか、エコシステムに関しても強化していく」とした。
Templeton氏は、先日発表されたインテルによるマカフィーの買収についても触れ、「業界の誰もが予想しない形に業界図が変わっている。大きなハードウェア指向の会社が、大きなソフトウェア指向の会社を買収するということはこれまでになく、業界の変化がいかに劇的であるかを物語っている。インテルは大胆であり、積極的である。インテルによるマカフィーの買収は我々の事業には影響しない。むしろ両社と強いつながりを持ち、独立系であるシトリックスにとってはプラスなると考えている」とした。