日本オラクルは、PLM(Product Lifecycle Management)事業の拡大を図り、製品体系を整えるとともに、営業、顧客支援の態勢を強化する。米オラクルが買収したAgile SoftwareのPLMアプリケーションを製品を全面的に推進、日本市場での普及促進を積極的に展開していく方針で、「200億円程度といわれる、国内のPLM市場で1/3のシェアを早期に獲得したい」(日本オラクル 常務執行役員 製品戦略統括本部長 三澤智光氏)としている。
PLMは企業が製品を市場投入する際、企画段階に始まり、設計、生産、販売、保守などを経て、市場から退く時点までの工程、製品ライフサイクルすべてを通じて、製品関連情報を包括的に一元管理する経営手法で、開発期間の短縮、収益向上、環境規制への対応などに活用される、全社的な情報基盤として脚光を浴びるようになっている。
ITが企業を支える機能として、まずERPなどが中心となり、購買、生産、販売、物流、会計、人事などの自動化/省力化が行われ、企業内統合による業務効率化が進められてきた。しかし、製品開発工程の効率化、輸送・物流コストの削減、サプライチェーン構築といった課題への対処は、仕入先、流通業など、外部との効果的な連携が必要になり「企業内統合だけでは不十分」(三澤常務)となってきている。
このような状況のなか、同社は「Outside In」と呼ばれる戦略を提唱する。これは企業内最適化に加え、外的変化への対応と適合を機敏にすることにより、生産性向上、競争優位性、高付加価値創造を目指すもので、仕入先、顧客との製品やサービスの取引、市場への製品投入というような、企業間のやり取りを「企業内外ののソリューションをSOAで統合化する」(同)ことで最適化しようとする試み。この戦略で、製品開発、販売、改良などの領域を担う軸となるのがPLMだ。
AgileのPLM製品は、ハイテク、医療/製薬、産業機器、自動車、航空産業、一般消費財、小売業の大手向けの「Agile Product Lifecycle Management(以下、Agile PLM)」、一般消費財、小売業向けの製品の製造法の規定、仕様管理に用いる「Agile Product Lifecycle Management for Process」が主力だ。「Agile PLM」は、「法令順守」、「製品管理」、「CAD/ERP連携」、「品質/信頼性保証」、「全社情報共有」、「調達/原価管理」、「設計、製造、エンジニアリングチェーン」の7つのモジュールを備えており、いわゆる、製品ライフサイクルのほとんどすべてを網羅できる要素を整えている。そのほか、CADデータをPLM製品上から閲覧できるビュアー「AutoVue」もあり、他社のPLM製品でも活用されている。
同社によれば、「Agile PLM」は、開発プロセス管理、関連部門のコラボレーションなどをはじめとするソリューション分野で、世界で1,300社以上、日本でも大手ハイテク企業を中心に、累計で30社への導入実績がある。同社 製品戦略統括本部 アプリケーションビジネス推進本部 シニアディレクター 岡田行秀氏は「製造業の売上げの4-5割は、3ヶ月以内に投入された新製品で占められ、さらに利益ではこれらが5-6割になる。魅力ある新製品を出さなければ、競争に勝てない」と話す。PLMへの関心が高くなってきたことの背景には、こうした状況がある。ERP、SCMなどを含めたエンタープライズアプリケーションの2004-2009年までの平均成長率が4.7%であるのに対し、PLMのそれは13.3%(出典:ARM Research)であるという。
同社は、現行では15人で構成されるPLM専任の組織を早急に30人体制に増強、製品情報の提供やトレーニングなど、日本市場での事業展開を強化する。ERPパッケージ「Oracle E-Business Suite(EBS)」パートナーを中心に協業体制を構築するとともに、ERP市場との連動策としては、大手企業向けにはEBS、中堅企業向けには「JD Edwards」製品との連携を考えている。今後は、ハイテク業界のほか、食品、自動車部品、機械やライフサイエンスなどにも攻勢をかける。また、「Agile PLM」とEBSをSOAで統合する基盤「Application Integration Architecture(AIA)」の「プロセス統合パック」を来春から順次提供開始していく予定だ。
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