日本オラクルは、保守/運用、管理、技術面などの支援を通じ、企業の業務継続を統合的に助力するサービス「Oracle Advanced Customer Services(以下、Oracle ACS)」を強化、適用範囲を拡大、新たにCRMの「Siebel」製品、ERPの「PeopleSoft」製品でも提供していくと発表した。顧客企業が自社のITシステムを、収益向上、競争力強化など、より戦略的に活用できるようにすることが狙い。従来、このサービスは「Oracle Database」、「Oracle E-Business Suite」などへの対応に限られていた。
「Oracle ACS」は、運用の主体はあくまで顧客企業と位置づけ、基本サポートサービスである「Oracle Premier Support」の契約を前提としている。同社では、業務継続について、最近、企業が求めている要因を、以下のように捉えている。運用/管理についての漠然とした不安感を解消したい。膨大化する一方の技術情報の中から、真に必要とするものだけを取り出したい。システム導入に際して、できるだけ早期からの支援により、稼動後の混乱を回避する。このため、同社では、業務要件とビジネス優先度を顧客と共有する専任担当者「Service Delivery Manager」が問題発生を未然に予防するためのソリューションを提案し、運用面での相談にも応じ、顧客のビジネスの継続と目的達成を支援する。
これらに対し、同社ではさまざまパッケージをそろえている。今回追加された「Siebel」製品向けのサービス「Technical Account Management」では、アプリケーションについての専門知識を活かし、導入を円滑に進めるためのアドバイスなどにより、リスクの特定、対処も含め、運用面に留まらず、戦略的な取り組みまでを支援する。同じく「Application Expert Services」では、個別分野の専門要員が、コンフィグレーション、アーキテクチャーについての専門知識を提供、アプリケーションを最適化するとともに、複雑な技術問題の解決に当たる。
同社カスタマーサービス統括本部 アドバンストカスタマーサービス本部 本部長の冨部哲也氏は「ITシステムに対する認識は変化している。以前はインフラを支えるものとして機能してきたが、システムと業務は緊密に連携するようになり、ITシステムは、差別化の武器となってきている。これを錆びつかせることになれば、業務そのものも錆びついてしまう。Oracle ACSは、企業のITシステムが常に戦略的な武器となるようにする」と話す。
同社では、2006年12月に、このような付加価値サービス事業を推進する専任組織を新設、20人の要員を配置していたが、今回の強化を視野に、現在は、2倍の40人体制としている。ACSと「Oracle On Demand」をあわせたサービス事業の売上げは、同社の2007会計年度で15億円弱だったが、2008年度は、20億円にまで伸長させることを目指す。