日本オラクルは、「Oracle CRM」に関する説明会を開催し、2008年前半にリリースする予定の「Siebel CRM On Demand Release 15」をプレビューとして紹介した。
説明を行なったOracleのCRM担当シニアバイスプレジデント、アンソニー・ライ氏は「エンタープライズアプリケーションは過去20年あまり変わっていない」と語り、同社が取り組む新しいコンセプト「顧客中心主義」と、「ソーシャルネットワーク参加型」が、エンタープライズアプリケーションにおける久々の大きな変革だと強調した。
顧客中心主義は、「製品中心主義」と対比される考え方で、自社の都合で製品を作り上げ、その差別化によって競合と競うビジネスから、顧客の要求に的確に応えることで競争する発想への転換を訴えるもの。ユーザー企業のビジネススタイル自体の変革を促すメッセージだが、同時にこれは、CRMアプリケーションの重要性を強調するメッセージでもある。同社の取り組みとしては、AIA(Application Integration Architecture:アプリケーション統合アーキテクチャ)やSOA、BPELによって従来のITシステムとビジネスプロセスの分離が実現され、プロセス変換が容易になるため、顧客中心主義への転換がスムーズに行なえるとしている。
また、ソーシャルネットワーク参加型は、端的にいえばCRMアプリケーションを実際に操作する従業員の生産性向上のために、メッセージングやWeb 2.0を意識した機能などを強化するという方向性だ。ライ氏は、「従来のエンタープライズアプリケーションは、企業のトップがトップダウンの形で末端の従業員をコントロールする手段」で、「CRMアプリケーションは企業のトップには最大限の価値を提供していたが、従業員には無価値だった」と語り、CRMアプリケーションの位置づけが大きく変化したことを明らかにした。なお、ソーシャルネットワーキングの考えを活用した従業員間のコミュニケーション手段として電子メールの利用も考えられるが、それでは「当事者間で直接情報交換が行なわれるだけで、企業側には何も価値が残らない」という。単にコミュニケーション手段を充実させるだけではなく、有用な情報として蓄積し、共有できる形でないと意味がないということだ。
なお、「Siebel CRM On Demand Release 15」は2008年前半にリリースされる予定。エンドユーザーにメリットをもたらす「ソーシャルCRM」として設計されており、SFA(Sales Force Automation)として営業担当者のためのセール支援に利用することも視野に入っているという。