日本オラクルは23日、SMB市場向けオールインワン・ビジネス・インテリジェンス・パッケージ「Oracle Business Intelligence Standard Edition One」(BI SE One)を発表した。1ユーザーあたり131,250円で最低5ユーザー、656,250円からの導入が可能。同社では、安価さだけでなく使いやすさや導入の簡単さもアピールし、これまでBIを敬遠していた中小・中堅企業をターゲットに導入を狙う。9月11日に出荷を開始、初年度で5億円程度の売り上げを見込む。対応プラットフォームは当初Windowsから提供される。
BI SE OneにはデータベースからETLツール、BIサーバー、レポーティング、ダッシュボードといったBIに必要なコンポーネントが全て含まれている。「競合他社であればこれらは個別の製品。オラクルはこれらをすべて含んで62万5千円(税抜)で提供する。BIの価格破壊だ」(システム製品統括本部 クロスインダストリービジネス推進本部 戦略開発部 藤原慎氏)。同氏は「5ユーザーで同等のコンポーネントを揃えた場合、ビジネスオブジェクツで500万円、マイクロソフトで130〜140万円」と試算、BI SE Oneの価格をアピールする。
また、こうしたコンポーネントが全て事前統合され、インストーラーによる一括インストールを可能としていることも特徴。これにより、ソフトウェアライセンスだけでなくインテグレーションのコストも抑えられる。もちろん、データソースはOracle Databaseに限らず、Microsoft SQL ServerやExcel、Access、Webサービスなど複数に対応する。ただし、上位エディションと異なり、2つのデータソースまでしかアクセスできないという制限が設けられている。
こうした特徴により、「予算の限られたSMBのユーザーの選択肢を広げる」と常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤智光氏。
SE OneはEEやSEと同じくSiebel Analyticsをベースとする製品。「元来コールセンターをターゲットとした製品。幅広いユーザーに使いやすい製品となっている」(三澤氏)。同社はこの使いやすさという点もアピールする。Answersと呼ばれるWebベースのレポート作成ツールを備えるほか、複数のレポートを一括表示可能なInteractive Dashboard、Microsoft WordやAdobe Acrobatなどでレイアウトが可能なBI Publisherなどを備える。
主なターゲットは既にOracle Databaseをインストールしている顧客やこれからOracle Database SE Oneを導入する顧客。こうした顧客がBIを導入する場合、BI専用にMicrosoft SQL Serverを導入したり、レポーティングのためにビジネスオブジェクツのCrystal Reportを別途導入しているケースが多い。こうした顧客に対し、置き換えによる投資効率の向上をアピールする。また、オラクルのいうSMBとは年商1000億円以下もしくは従業員1000人以下の企業だが、このエリアでのBIマーケットは「ホワイトスペース。まだまだ新規導入が見込める」とし、安価さと導入の簡単さを生かし、手軽なレポーティングツールとしての訴求も行う。この市場ではデータベースがMicrosoft SQL Serverであることも多く、Oracle Database以外への対応は大きなメリットだ。BIツールから入ってデータベースも置き換えるというストーリーも作れる。
かねてから同社は、2008年に出荷ライセンス数ナンバーワンのBIベンダーになるとの目標を明らかにしている。「Enterpirse EditionとStandard Edition、そして買収によって手に入れたHyperion製品群を併せ、エンタープライズからSMBまで、BIの包括的なラインナップを完成させた」(三澤氏)と、BI SE Oneでのさらなる弾みに期待を掛ける。