日本ビジネスオブジェクツは6月7日、Business Objectsの創設者で会長 兼 最高戦略責任者を務めるBernard Liautaud氏の来日記者会見を開催した。
BIベンダーの中では、3月にHyperionがOracleに買収されたことが記憶に新しい。このことについてLiautaud氏は、「Hyperionは買収によってオープン性を失った。製品はどうしてもOracleフォーカスになってしまうだろう。しかし、多くの企業は1ベンダーのシステムだけを採用しているわけではない。わが社のBI製品は、オープンで中立的なことが強みだ」と述べた。
また、Liautaud氏は同社が幅広いポートフォリオを抱えていることも強みだとしている。「レポーティング機能はもちろんのこと、データ統合やダッシュボード機能、非構造化データへのアクセス管理、コンプライアンス対応など、すべてを単一プラットフォームで提供できる。こうしたBIのすべてを1社で提供できるのはBusiness Objectsだけだ。わが社は1700人以上の開発者を抱えている。拡張性のあるトップクラスのBI製品が提供できる」とLiautaud氏。
Business Objectsでは、次世代のBIとして「BI 2.0」を提唱している。BI 2.0の世界では、「5つの革命が起こる」とLiautaud氏は述べ、それが「ユーザー革命」「プラットフォーム革命」「ネットワーク革命」「アプリケーション革命」「コミュニティ革命」だとした。
ユーザー革命とは、ウェブの世界で起こったような「誰もが使えるシンプルで使いやすいサービス」が、BIの世界でも起こるということ。「BI 1.0の世界では、BIといえば一部の人が使う難しいツールでしかない。それが簡単に誰でも、いつでもどこでも使えるようになるのがBI 2.0だ」とLiautaud氏は説明する。
プラットフォーム革命とは、さまざまなツールが単一プラットフォームに統合されること。断片的な機能がひとつの環境下で統合されるというのだ。また、Liautaud氏は「オンデマンドでBIが利用できるようになる」とも説明する。Business Objectsも、すでに一部をオンデマンド化しているという。
ネットワーク革命とは、統合化された環境下でBIを利用することで、社内外を問わずさまざまなデータに普遍的にアクセスできるようになることだ。「BI 1.0では、特殊なアプリケーションやエクストラネットなどのシステムを使ってのみアクセスできていた情報が、BI 2.0ではWebサービスなどを通じてオンデマンドでアクセスできるようになる」とLiautaud氏は説明する。その一環として同社では、5月に「Information OnDemand」というサービスを発表した。このサービスでは、企業情報データベースを保有するDun & Bradstreetなどのデータをオンデマンドで提供している。
アプリケーション革命では、現在業務の自動化のために利用されていたアプリケーションが、ビジネス業績の最適化のためのアプリケーションとなる。「トランザクション中心のアプリケーションから、情報中心のアプリケーションになることで、予算編成やコンプライアンス対応などにも利用でき、最適化につながる」とLiautaud氏は説明する。
コミュニティ革命では、Web 2.0でコンテンツ共有が可能となったように、共同開発によるマッシュアップなどが可能になる。「開発者がコミュニティに開発内容を公開し、共同で作業ができる」とLiautaud氏は話す。
こうしたBI 2.0で起こる革命は、まだすべてが実現したわけではない。特に日本では、積極的にBIを活用する企業もまだ多くないのが現状だ。この点についてLiautaud氏は、「日本では、BIというとレポーティング機能などの限られた分野でしか知られていないようだ。グローバル市場では、他のBIの機能も認識されており、幅広く受け入れられている。もっと日本市場でBIの良さを伝えていかなくては」と述べた。