「国内のアプリケーションビジネスはグローバルの32%を超え、60%の成長を遂げた。また、いくつかの”メガ・ディール”を獲得し、最大案件の規模も250%となった」―日本オラクルのアプリケーションビジネスを統括する米Oracle 日本アプリケーションビジネス担当 Senior Vice PresidentのDick Wolven氏は、5月に終わったオラクルの会計年度2007年を振り返りながら、2008年に向けて強気の姿勢を見せる。
Dick Wolven氏は2005年10月にOracleに入社、しばらくして国内でのアプリケーション事業を統括する立場となる。特にこの1年ほどは「顧客に身近なソフトウェアカンパニー」を掲げた施策を打ってきた。
同氏は、まずオラクル自身の変化に言及する。「一年前とは組織的にも変わった。顧客のニーズをより正確に素早く把握できるようになった」(Dick Wolven氏)。また、ERPを様々な機能を持つアプリケーションによって”包囲”するという戦略も買収によって大きく進んだ。そして、パートナー増強施策である”Project 1000”についても、既に375のインプリメンターを獲得し、予定より速いスピードでパートナーを増加させている。
こうした好調を受けて同氏は、2008年はオラクルが「日本でパッケージソフトウェアの市場を作る」とし、「これがオラクルの責任であり、戦略」とする。
この戦略のなかで重要な役割を果たすのが「アプリケーション統合アーキテクチャ」(AIA)だ。「ビジネスアプリケーションは、既にただの会計ソフトウェアではない。例えば顧客がいかに容易に製品を購入できるかというふうに、ビジネスプロセスと統合されたサービスになっている。しかし、様々な情報が様々なデータベースに格納され、お互いに連携しない。こうした現状では顧客データベースとは言えない。オラクルデータベースに顧客の名前と住所などが入っているだけだ」(同氏)。AIAはこうした状況を解決する。
また、オラクル自身、「3年で33の買収を行った。それぞれが別のデータモデル、別の方法論を持っている。ミドルウェアが無ければこれらを統合することなどできなかった」(同氏)とする。同社では、アプリケーションの統合基盤として標準ベースのSOAやAIAを使い、SiebelやPeoleSoftなどの事前統合を行っている。
また、カスタマーケア&サポートやコンサルティングなどを通じて、顧客へ直接のアクセスも引き続き強化する。同氏は「オラクルのインストールベースのうち、グローバルでは95%が最新のソフトウェア。国内ではこれが40%にとどまる」とし、この原因を「パートナーがアップグレードに興味を示していないから」と分析する。そこで、オラクルが顧客に直接コンタクトして製品の価値を訴求、バージョンアップを促進する。もちろん、実際にアップグレードの作業を行うのはパートナーだ。
同氏は「アプリケーションライセンス売り上げの拡大がコンサルティングを伸ばし、サポートを伸ばし、パートナーのビジネスも伸ばす」と、オラクルのアプリケーションをとりまくエコシステムの形成の重要性を説く。オラクルとして顧客にアプリケーションの価値を伝えながら、インテグレーターなどパートナーにとっても魅力的なビジネスを形作ることが2008年のチャレンジだ。