日本オラクルは7月6日、今後の中長期的な戦略についての説明会を開催した。同社は5日に2007年度の決算を発表したばかり(関連記事)。売上高は2ケタ%の増加で1007億6700万円となり、営業利益率も36.5%、またすべての部門で増収を果たした。
日本オラクル 代表取締役社長 最高経営責任者の新宅正明氏は、決算発表の席上で日本オラクルインフォメーションシステムズ(OIS)との協業強化について公表していた。これまでOISからオラクルへは営業部門の数名が出向していただけだったが、今期はサポートや教育、コンサルティングなどすべての部門から合計270名がオラクルに出向する。現在のオラクル社員約1710名に出向者270名を加え、約2000人での新体制をスタートさせるが、「今後も約400名強の新規採用を予定しており、その他に(社員以外で)在中している人員を加えると、1年後には約3000人体制となる」と新宅氏は説明した。
7月からは、米Oracleが買収したStellentやHyperion Solutionsの製品の取り扱いを始めることに加え、「Siebel Systemsの製品もオラクルグループとしてビジネスを展開し、大きく成長させる。Saas(Software as a Service)モデルのビジネスも全社をあげて推進していく」と述べている。
SaaSモデルについて、同社はシステムの自社保有型とのハイブリッド方式で推進する予定だ。日本オラクル 執行役員 経営企画室長の吉川剛史氏は、「ソフトウェア事業がサービス化していくことは業界の動きとして間違いない」としながらも、「すべてがSaaS化するわけではない」と話す。
「業務プロセスに汎用性がある企業などではSaaSの加速要因も大きいが、大企業などでは業務プロセスが会社固有で作り込みが必要となるほか、セキュリティ、安全運用の確保といった面から自社運用が残る要因も大きい。こうしたことから、少なくとも中期的には自社保有型とSaaSのハイブリッドが進むだろう」(吉川氏)
こうした中で、オラクルの強みは「自社保有型とSaaSの両方のポートフォリオを持っていることだ」と吉川氏。同氏は、「SaaSだけでも、自社保有モデルだけでも、顧客の要望にすべて応えることはできない。オラクルは複合的ソリューションを提供できるため、両分野でナンバーワンになる」と強気な姿勢を見せた。
オラクルは、グローバルレベルで「2010年にオラクルの提供するすべての製品領域でシェアナンバーワンになる」というビジョンを掲げてるが、「日本においても、マーケットシェアや市場評価を向上させ、統合ビジネスソフトウェアカンパニーとしての新しいイメージ作りを進める」と新宅氏。特に、産業別製品に注力すると同氏は述べ、「日本では金融や流通業界のソリューションが固まってきた」としている。今後買収が進むのもこの分野だと新宅氏は述べている。また、「Linuxの推進も本格化する」という。オープンソースのサポートビジネスも近日中に発表する予定だ。
こうしてサービス部門の統合が進むにつれ、コンサルティングが重要になるとして、「今年はコンサルティングメンバーを現在の300人体制から500人体制にまで持っていきたい。2010年には1000人体制まで強化したい」(新宅氏)としている。