「正直なところ、Siebel CRM On Demandのビジネスの成果についてはちょっと不満です」日本オラクル 執行役員 アプリケーションビジネス推進本部長の藤本寛氏は、日本で本格的なOracle Siebel CRM On Demandのビジネスを展開してきた1年間を振り返り、このように印象を語った。「当初の目標が高すぎたこともあるが」と前置きしながらも、感覚的には達成率は半分にも満たないとする。
その1つの理由として、想定していたよりも小規模の案件が多かったことを挙げる。10〜20ユーザー程度の顧客で、部門やグループレベルでの導入が多いとのことだ。導入した顧客の満足度は高いという感触は得ているものの、まだまだ規模が小さく、アプリケーションビジネスを伸ばすために本来取るべきエンタープライズの領域には至っていないという。
しかしながら、SaaSのビジネスとして新たに見えてきたものもあるとのこと。とくに日本ではシステムに対するカスタマイズ要求が高く、スクラッチ開発より自由度が低いSaaSにはそれが導入障壁になるのではという懸念もあったが、むしろその影響はあまり大きくないという。
「日本版SOX法への対応もあり、企業がシステムをカスタマイズしすぎてブラックボックス化するのを避ける傾向が最近出てきました。これにより、パッケージ製品に対するニーズが上がっており、そこからSaaS型のサービスも受け入れやすい状況が生まれているようです」(藤本氏)。
むしろ現状、SaaS型サービスの導入障壁となるのは、セキュリティの問題だということが認識できたという。それも、SaaSのサービスに技術的なセキュリティ課題があるわけではなく、データを外部に預けるという顧客の心理的な問題が大きいとのこと。これに対しては、具体的な対策を打つことが難しいので、信頼を要求される顧客企業の実績を事例としてアピールしていくしかないとのことだ。
また、現状では導入企業の業種はばらばらでとく傾向は見えないとのこと。今後SaaSをさらに拡大していくには、まずはSaaSを導入しやすい業種や業態をある程度絞り込んでセールス活動を行っていく必要性も感じていると藤本氏は言う。