グリーンITへの取り組みが注目される中で、データセンターに対する視線が以前とは違ったものになりつつある。データセンターが消費する電力量がほかの分野よりも大きく際立っているために、より省電力を求める“エコ”を指向した、いわばグリーン化を大きく求められるようになっている。
リサーチ会社の米Gartnerでリサーチ部門の副社長を務めるPhilip Dawson氏は、先頃行われたイベント「ITインフラストラクチャ&データセンター サミット 2008」(ガートナー ジャパン主催)の講演で、エネルギー価格の高騰によるコスト高などの背景から、「データセンターは再び重要になった。ただしグリーン化が不可欠である」と、現在のデータセンターに対する意識が大きく変わりつつあることを指摘している。
Dawson氏によれば、メインフレームからクライアント・サーバ(C/S)型システム、そしてx86ブレードサーバへと物理的にデータセンター内部が進化していく過程と、グリーン化という社会的な波が相まって、グリーン化データセンターが要求されるようになっているという。「環境的な波を取り入れることは不可避。グリーン化データセンターはこの2〜3年先でさらに重要視されることになる」(Dawson氏)。
Dawson氏は、グリーン化データセンターを検討する際には「金銭的価値でとらえる必要がある」と指摘。多くのユーザーは、ハードウェアの価格にばかり目を向けがちとなってしまうが、実際にはそれを運用する側のヒトとプロセスがデータセンターにどのような影響をあたるかを考慮する必要があると同氏は説明する。
「サービスの負荷やネットワークのアーキテクチャに対する負荷などといったことばかりではなくて、ヒトやプロセス、オペレーションをどう切り盛りしていくのか、サポート体制をどうしていくのかなどを含めた、総体としてとして考えなければならない」(Dawson氏)
つまりはハードウェアの初期導入費が2〜3割安くなったとしても、人件費が2〜3倍かかってしまうようでは意味がないという。そして、このことから、「初期導入コストが高いとしても、継続的コストをいかに抑えるかがグリーン化データセンターの要となってくる」(同氏)。つまりは、ランニングコストをいかに抑えるかという問題意識でデータセンターを検討しなければならないのである。
そうした意識でデータセンターを検討する際には、データセンターがもたらす影響を、直近・中期・長期という3つの視点で考慮する必要があるとしている。
直近では、たとえばプロセッサをインテル製にするのかAMD製にするのか検討する必要性が出てくるかもしれないし、プロセッサのほかにも冷却装置やサーバ設置の効率性などが重要になってくる。また、サーバ本体以外という点では、電源装置や冷却装置などをどれだけの面積に詰め込めるのかということも考慮する必要がある。