YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(UNL)は7月4日、日立製作所 中央研究所と共同で、次世代無線方式のUWB(Ultra-Wideband、超広帯域通信無線)による、アクティブ型ICタグ「UWB Dice」(仮称)を開発したと発表した。UWB Diceの大きさは1平方センチメートルで、電源付きのアクティブ型UWBタグとしては「世界初で世界最小」(UNL)だという。
UWBは、米軍の軍事技術として開発されたもので、米国では2002年より商用利用が認可されている。信号電力は低出力で、広い周波数帯域に拡散する通信方式。ノイズに強く、高速での通信が可能だ。UWBには、インパルス方式、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式などがあるが、UWB Diceは低消費電力で高精度測位などの特徴を持つインパルス方式を採用している。
「UWB Diceは、150ミリアンペアのボタン型電池を採用しているが、電池の寿命は9年以上だ。また、測位は30cm、通信速度は10Mbpsで10m、250kbpsで30mとなっている。さらに、温度センサーも内蔵されている」と、UNL所長で東京大学教授の坂村健氏はUWB Diceの特徴について説明した。
日本ではまだUWBは正式に許可されておらず、UNLでは特別免許を取得してUWB Diceの実験を行っているが、「日本でも2006年秋頃には許可が降りるだろう」と坂村氏。また、国際的な標準化については、「インパルス方式はIEEE802.15.4aの管轄で、2007年3月に終了予定だ。UWB Diceもこの標準に準じている」(坂村氏)としている。
UWB Diceは、30cmという高精度な測位機能を持つため、これまで困難だった物品や人物の詳細な位置情報が取得できるようになる。
UWB Diceが商用化された場合の価格は「数千円の下の方になるだろう」と坂村氏。実際には日立製作所が製造・販売を手がけることになるが、日立製作所 中央研究所のセンサネット戦略プロジェクトリーダー 工学博士 矢野和男氏は、「タグが普及して大量生産できるようになれば、(10円にはならないが)数百円での提供も可能だ」としている。