住友電気工業(松本正義社長)は11月30日、システムインテグレータや通信工事会社、電力会社などを対象に、ビル向け高速PLCモデムを12月上旬から販売・出荷すると発表した。販売は、住友商事マシネックス(荒井健彦社長)と協力して行い、2010年までに100億円の売上を見込む。
高速PLCは、既存の電力線を通信回線として利用し、最大200Mbpsの高速通信が可能な技術。電波法関連の規制があり、これまで国内では使用が認められていなかったが、06年10月4日に電波法関連省令・告示が改正され、総務省の型式指定を取得すれば屋内で自由に使えるようになった。
今回開発したビル向け高速PLCモデムは、スペインのDS2社のPLCチップを搭載したヘッドエンド(親機)「PAU2210」とCPE(子機)「PTE1310」で構成。ヘッドエンドは、最大で約1000台のCPEが接続できる。CPEには、長距離でも通信を可能にする中継機としての機能、音声や映像などを安定して伝送できるQoS(優先制御)、SNMPやTelnetによる管理機能を搭載する。
同社は、 200Mbpsの高速PLCモデムを、ロシアやスペイン、ポルトガルなどの電力系通信会社などに04年から販売してきた。その実績をもとに、国内の厳しい許容値の環境下でも使用できるビル内向け、宅内向けモデムを開発、総務省の型式指定を得た。サービスプロバイダへの販売に向け、一般家庭用の宅内向け高速 PLC製品の開発も進めている。
住友電気工業=http://www.sei.co.jp/
住友商事マシネックス=http://www.smx.co.jp/