ヴイエムウェアは10月8日、キリンホールディングスを持株会社とするキリングループが、ヴイエムウェアの仮想化インフラ基盤をベースとしたプライベートクラウドを構築し、サーバの統合を図ったと発表した。
キリンでは、2007年のホールディングス制への移行により、これまでの各事業会社やその各部門で個別に購入してきたサーバの増加と、それに起因するデータセンター内の消費電力量が大きな課題となっていた。この課題を解決すべく、キリンのIT戦略事業会社であるキリンビジネスシステム(以下KBS)が「仮想化ファーストポリシー」を掲げ、保守期限がきれたアプリケーションサーバの延命のみならず、新規導入するサーバも最大限仮想化していくこととなった。
KBSは「VMware Infrastructure 3」を活用し、130台の物理サーバを10台の「VMware ESX Server」上に統合した。今後、年内にも合計230台の物理サーバを19台のESX上に統合・拡張する予定だ。現在データセンター内では稼働するサーバの約25%が仮想化されており、2012年までには新規導入サーバの80%が仮想化される。また現在稼動中の環境をプライベートクラウド環境の「VMware vSphere」へ順次移行し、今後4年間で合計500台近くの物理サーバをこのクラウド上で稼動させる予定だ。
なおKBSは、ガートナー ジャパンが開催した「ガートナーITインフラストラクチャ&データセンターサミット2009」にて、サーバ仮想化の事例について講演している。
KBSでは、すでに2004年よりVMware製品を導入している。KBS 情報技術統括部 インフラ技術管理グループ 担当部長の吉田幸博氏は、「検証と試算を重ねた結果、コストの圧縮が可能であること、またシステムの柔軟性が高まることでシステム管理者の生産性が向上することが確認できた。その後、仮想化技術に対する認識が全社的に浸透した結果、現在の更なる導入につながった。ベンダーサポートの問題から、仮想化への不安があるIT管理者もいると思うが、公式サポートが無くともVMware Infrastructure 3で構築した社内プライベートクラウドは企業業務インフラとして安定しており、拡張要求にも柔軟に対応している」と述べている。