Adobe Systemsが、PDFフォーマットで作成されたビジネスドキュメントのフローを処理するサーバソフトウェアの機能を強化した。Adobeは、同ソフトウェアを擁し、法人顧客からの売上を拡大する構えだ。
Adobeは米国時間9月6日に、Adobe Document Servicesのコンポーネントである「Adobe LiveCycle」製品ラインのアップグレード版をリリースする予定だ。同製品ラインには、プロセス管理サーバも含まれる。また、同社は他のソフトウェア企業との間で、同製品のアドオンを開発するための契約を締結した。
LiveCycleは、PDFドキュメントのアップデートやルーティングをするためのサーバスイートである。例えば、保険会社はこの製品群を利用し、社内ワークフローの一環として、人ごとに異なるドキュメント処理アプリケーションを適用させることができる。同製品のスタート価格は、1サーバ当たり6万5000ドルから。
同社の幹部らによると、LiveCycleスイートのバージョン7では、より高機能なアプリケーションを構築するためのツールが提供されるという。この製品には、Adobeが2004年に1590万ドルで買収したQ-Linkが開発していたJavaベースのサーバや設計ツールが含まれる。
LiveCycleで提供される設計ツールを利用することにより、開発者はワークフローの概略を記述したり、バックエンドアプリケーションからデータを取得したり、さまざまなドキュメントに対するアクセス権を設定したりすることができる。この製品は、WebサービスプロトコルやXMLを利用して、他のシステムと情報のやりとりをする。
AdobeのシニアプロダクトマーケティングマネージャSteve Rotterによると、AdobeのワークフローアプリケーションではPDFフォーマットを利用しているため、企業間でのドキュメントのルーティングが可能であるという。他のワークフロー製品の場合、AdobeでいうAcrobatのような、ドキュメントフォーマットを作成する製品がない場合が多いと、同氏は述べる。
法人顧客からの売上拡大を目指すAdobeにとって、このワークフロー製品は中核的な役割を担うと、同社は述べる。同社は2004年に、法人顧客から1億ドルを売り上げている。
同社は、ワークフロー製品市場において、MicrosoftやIBMのような大手プラットフォームベンダーのほか、ワークフローソフトウェア企業との厳しい競争にさらされている。
IBMは2005年7月に電子フォームソフトウェアベンダーPureEdgeを買収した。IBMは、PureEdgeの技術をフロントエンドツールとして利用し、IBMのデータ製品と連携させる意向だ。
一方のMicrosoftは、Officeスイート上で稼働するワークフローソフトウェアを強化し、Acrobatに似たXMLベースのドキュメントフォーマット「Metro」を提供する予定だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ