米OSDL(オープン・システム・デベロップメント・ラボ)は10月27日、OSDLボードメンバーの来日に伴い、同団体の取り組みを記者向けに紹介する説明会を都内ホテルで開催した。
OSDLは、エンタープライズ分野におけるLinuxをはじめとするオープンソースソフトウェア(OSS)の利用促進を目的に、IBM、インテル、コンピュータ・アソシエイツ(CA)、NEC、日立製作所、ヒューレット・パッカード(HP)、富士通の7社が2000年8月に設立した非営利団体。現在、Linuxの開発者であるリーナス・トーバルス氏のほか、75社の企業が参画している。
同団体が目指しているのは、OSSの開発コミュニティと産業界の間に友好的な関係を築くことや、LinuxなどのOSS普及を阻害する要因を排除することであり、そのための活動を推進している。具体的には、市場のセグメント化の拡大や多様化するメンバーへの対応、コミュニティーへのリーチの強化などを推進する。
特に、市場セグメントの拡大では、通信系に向けたCGL(キャリアグレードLinux)、エンタープライズ向けのDCL(データセンターLinux)、デスクトップ向けのDTL(デスクトップLinux)、携帯電話市場向けのMLI(モバイルLinuxイニシアティブ)の4つのワーキンググループを展開している。
中でも活発なのがMLIで、OSDLのCEOであるStuart Cohen氏は、「MLIの分野ではアジア各国が重要な市場になる。特に、携帯電話関連では日本が重要になるのは言うまでもない」と話す。同氏はまた、「現在、世界中で使用されている携帯電話、約7億5000万台にLinuxが搭載されているこれは、携帯電話全体の約5%にあたる。また、スマートフォンでは、約25%にLinuxが搭載されている」と話している。
「アジアにおける携帯電話市場でのLinux導入が促進されていることからもわかるとおり、OSDLの今後の展開としてはグローバルリーチが重要になる」とCohen氏。まずは、アジア、欧州に活動の場を広げ、さらにアフリカ、中近東、南米などに拠点を拡大していく計画だ。
日本市場においては、官公庁や自治体へのLinuxやOSSの導入促進および阻害要因の排除のための取り組みを推進する「ELPS(Enterprise Linux for Public Sector)」プロジェクトや、企業システム開発へのLinuxやOSSの適用拡大に向け、システム開発上の課題をシステムインテグレーター(SI)の視点から解決し、ノウハウの蓄積を目指す「SI Forum」という、2つの取り組みを展開していく。