「仮想化ソフトは第三者機関が管理すべき」--日本HPがXenへの取り組みを説明

田中好伸(編集部)

2005-10-31 05:58

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は10月28日、仮想化ソフト「Xen」への取り組みを説明した。取り組みを説明したのは、米Hewlett-Packard研究所Internet Server & Storage Labs(ISSL)の仮想化プラットフォーム担当のTom Christine主席研究員。

米HP研究所のTom Chiristine主席研究員

 仮想化ソフトは、ハードウェアと基本ソフト(OS)の間に位置して、1つのサーバ上で複数のOSを稼動させることができる。OSごとに乱立するサーバを統合させる手段として、TCO(総所有コスト)を削減させたい企業から注目を集めている。

 Xenは、英Cambridge大学が中心になって開発したオープンソースの仮想化ソフトであり、現在は米XenSource社が開発・サポートしている。HPはXenのソースコードの64ビット化を実施してきている。

 Xenは、HPのほかに米IBMや米Dell、米Sun Microsystems、米Intel、米AMDなどのハードウェアベンダー、米Novell、米Red Hatといったソフトウェアベンダーが開発を支援しているが、開発・サポートの中心はIan Pratt氏が率いる、Xenのコンサルティング会社であるXensourceだ。

 説明の中でChristine氏は「仮想化ソフトは、HPが推進するユーティリティ・コンピューティングを実現するために不可欠な技術である。サポートされるプロセッサ、OS、サービスの種類の多さが重要なポイントとなる」とXenなどの仮想化ソフトの重要性を強調した。

 仮想化ソフトの重要性を強調するChristine氏は「標準的となる仮想化ソフトは、オープンソースとして中立的な第三者機関によって管理されるべき」と主張した。特定企業が仮想化ソフトを独占すると、OSを含めて、その上で稼動するアプリケーションの開発にも大きな影響を与えてしまうからだ。

「WindowsがデスクトップPCで大きな割合を占めたことで、アプリケーションはWindowsに対応しなければならなかった。このような“Business control point”になる可能性が仮想化ソフトにはある」(Christine氏)

 Business control pointを排除するという目的から、Christine氏は「仮想化ソフトはいかなるOSとも統合することがあってはならない」と主張。OSとの統合を果たすと、「ライセンスや流通上の問題を引き起こす可能性がある」(Christine氏)からでもある。

 現在Xenは2.0がリリースされており、2006年2月までには3.0/3.1がリリースされると見られている。3.0/3.1では、64ビットCPUへの対応が実施されるほかに、ハードウェアでの完全な仮想化がサポートされている。Intelが「Vanderpool Technology」で、AMDが「Pacifica」で仮想化技術をサポートする。

Xen(ゼン)の説明会は鎌倉の禅宗の建長寺で行われた。境内の一角には、HPのIntegrity Superdomeが置かれていた


ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]