VMwareは、リリースを予定している次期主要製品を、基本的なサーバ管理ソフトウェアから大規模なデータセンター運営製品へ移行させようと急いでいる。
EMCの子会社であるVMwareは米国時間17日、主催する「VMworld」カンファレンスで、このような移行計画を明らかにした。また、「ESX Server 3」と「VirtualCenter 2」のサポートに関するベータテストについても発表された。ESX Server 3は、1基のサーバで複数のオペレーティングシステムを稼働させるソフトウェアである。VirtualCenter 2は、ESX Serverが稼働するサーバの動作を管理するソフトウェアである。
VMwareによれば、両製品の出荷は2006年第1四半期中で、価格はその際に明らかにするという。現時点では、ESX Server 2.5は1デュアルプロセッサ当たり3750ドルで、VirtualCenterを含めた全体的な値段は5000ドルとなっている。
仮想化と呼ばれる、コンピュータの柔軟性を向上させる新たな技術の傾向が現れてきているが、VMwareはまさにその中心に位置している。仮想化は、ハードウェアとソフトウェアの固定的な関係を崩す技術だ。この技術を利用すると、プログラムのコンピュータ間での移動が容易になり、ソフトウェアの動作に干渉することなくハードウェアの基本的な設定が変更できる。さらに、異なるソフトウェアで同一の基礎的なハードウェアが効率的に共有できる。
VMwareは、Intelの「Pentium」やAMDの「Opteron」といったx86プロセッサを搭載するコンピュータ向けの「仮想マシン」ソフトウェアを開発し、他社をリードしている。同ソフトウェアの利用目的は当初、ワークステーションで使用され、単一マシン上でWindowsとLinuxを稼働することや、いまだにクラッシュしやすいものの、ソフトウェア開発用の安全な作業環境を提供することにあった。だが、同社が現在さらに力を入れているのは、同一サーバ上で複数のジョブを処理するための技術である。
もっとも、IntelやAMDがプロセッサに仮想化サポートを直接搭載するようになり、VMwareソフトウェアの複雑な中核技術は簡単に再現できるようになりつつある。同社はまた、新たな競争に直面するようにもなった。Microsoftは「Virtual Server」や「Virtual PC」といった製品を提供しており、Red HatやNovellのLinuxにもオープンソースプロジェクト「Xen」が組み込まれている。米国時間17日には、ライバル企業Virtual Ironが、VMwareの前セールスエグゼクティブEvan Ecksteinを同社のセールス部門バイスプレジデントとして雇用したことを発表している。
VMwareの競合企業も管理ツールの開発を目指すようになったが、顧客基盤に関しては同社がリードしている。予定どおりならば、2006年にはこれらのユーザーが、ESX ServerおよびVirtualCenterへのアップグレードに資金を投入するだろう。
VMwareは、ESX Server 3とVirtualCenter 2を組み合わせた新製品に2つの新しいオプションを用意したと話している。1つ目は「Distributed Availability Services」と呼ばれ、管理ソフトウェアが停止した仮想マシンを検知して自動的に再起動するというサービスだ。2つ目が「Distributed Resource Scheduling」で、こちらは管理ソフトウェアがサーバ群の仕事量を調節し、管理者がサーバを80%の利用効率で稼働させられるようにするものである。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ