1995年の設立以来、継続して黒字経営を続けているFiorano Software。SOA(サービス指向アーキテクチャ)のスイート製品を提供する企業だ。日本法人は設立していないものの、2005年3月に日本オフィスを開設、11月には東京ビジネスソリューションとの提携を発表し、共同で国内におけるSOAソリューションの普及やサービスの拡充を図るとしている。
FioranoがSOAを実現するためのスイート製品として2005年11月にリリースしたのが、「Fiorano SOA 2006」だ。これは、「Fiorano ESB」がプラットフォームとして用意されているほか、Fiorano ESB以外のプラットフォームでも動作する70以上のコンポーネント、またBPEL準拠のビジュアルツール「Fiorano BPEL」などが含まれている。
Firanoのコンセプトは、インテグレーションを簡素化することだ。同社でCEO兼CTOを務めるAtul Saini氏は、「プラットフォームのみならず、コンポーネントとツールを提供することで、プログラミングを最小限に抑えることができる。Fioranoでは、現場レベルの担当者でも簡単にコンポーネントを結びつけられるようなツールを提供しているため、効率がいい」と話す。
Fiorano BPELは、ITエキスパートでなくとも、ドラッグアンドドロップでコンポーネントが組み立てられるツールだ。Fioranoのコンポーネントはもちろん、他社が開発したコンポーネントでも、JMSやJCAなどの標準で開発されたコンポーネントはすべてサポートする。
Saini氏は、「こうしたツールを提供している企業は少ない」と主張する。「ツールがないため、ビジネスプロセスを変更したい場合、プログラミングが必要となる。そこでコンサルテーションなどが必要となり、コストがかさむ」(同氏)
Saini氏によると、競合ベンダーの場合、ソフトウェアの価格を1とするとコンサルテーションやサービスのコストはその3倍になると言う。それがFioranoの場合は、「ソフトウェアそのもののコストが安価であることはもちろん、コンサルテーションコストはソフトウェアの半分程度だ」(Saini氏)。ソフトウェアの価格は、設立当初より開発拠点をインドとすることで安価に抑えている。
Fioranoでは、世界中に約400社もの顧客を抱えている。その中には、AT&T WirelessやAmerican Express、Motorola、Federal Express、Boeing、JP Morganなどが名を連ねており、幅広い業界で同社製品が採用されている。また、大企業のみならず、安価で簡単に運用できることから、「Fiorano製品は中小企業にとっても最適だ」とSaini氏はアピールする。
東京ビジネスソリューションとの提携を機に、Fioranoでは9月頃までに製品を日本国内向けにローカライゼーションするとしている。日本では、今後もチャネルパートナーを通じての販売を行う。Saini氏は、「パートナーは顧客のことを一番良く理解しており、販売チャネルもすでに持っている。今後もパートナー戦略を拡大し、日本でFirano製品を普及させたい」と述べた。