マイクロソフトは6月20日、ハードウェア技術者向けカンファレンス「WinHEC 2006 Tokyo」を開催。MicrosoftのWindowsハードウェアプラットフォームエバンジェリズムでゼネラルマネージャーを務めるMarshall Brumer氏は基調講演の中で、今後市場に投入される「Windows Vista」について触れ、「Vistaは、ビジネス、モバイル、コンシューマー、いずれに対しても今までにない経験(エクスペリエンス)をもたらす」と語っている。
Brumer氏の基調講演では、ビジネス、モバイル、コンシューマー、それぞれの分野で注目の機能が説明された。
Vistaでは、「XPS文書」と呼ばれるファイルフォーマットを扱うのが標準になる。XPS文書は、XMLベースの形式で記述される電子ペーパーだ。またXPS文書は、新しいオフィスソフトの「2007 Microsoft Office」でも利用できる。
XPS文書は誰が閲覧できるのかなど制限できることから、Brumer氏は、「ビジネス分野においてXPS文書のアクセス管理は、法令順守などの点で有効」と説明。また、XPSをドキュメントのワークフローに用いれば、「情報をシームレスに利用できるようになる」とも強調している。
ビジネスのセキュリティという点で「BitLockerドライブ暗号化」が強調されていた。BitLockerは、マザーボード上の「Trusted Platform Module(TPM)」と呼ばれるチップを利用して、ハードディスク(HDD)全体を暗号化するというものだ。Brumer氏は「BitLockerは、ハードウェアベースのセキュリティ機能という点で初めてのこと」と説明している。
モバイルの分野では、「Ready Boost」という技術と「Ready Drive」という技術が強調されている。Ready Boostは「SuperFetch」と呼ばれる技術と併用することで、アプリケーションの立ち上がりを高速化させることができる。Ready Driveは、HDDにフラッシュメモリを組み合わせるという技術だ。「Ready BoostとReady Driveを利用することで、ノートPCの電源管理を効率的に行えるようにできる」(Brumer氏)という。
またモバイル分野では、イントラネットなのかインターネットなのか、有線のLANなのか無線LANを利用しているのかなど、PCがどのような接続状況にあるのかを一括して把握するという機能を、Brumer氏は強調していた。
Brumer氏は、サーバを含めたWindows製品の今後についても触れ、現状、32ビット版と64ビット版が混在しているが、2006年以降に市場に投入される「Exchange Server 2007」や「Windows Server 2003 Compute Cluster Edition」、「Windows Small Business Server」(開発コードは“Cougar”)、Longhornの次のサーバ向けOS(開発コードは“Centro”)は「64ビット版のみが提供される予定」(Brumer氏)という。
Brumer氏はさらに、新興市場向けの取り組みも説明。同氏の説明によれば「新興市場でPCの普及率は6%未満。しかし、携帯電話の普及率は27%」という。「より多くのお客様にPCを届けるために、業界全体としてビジネスを供給するために」(Brumer氏)、「Microsoft FlexGo」と呼ばれるプログラムを展開する。これは、寄付でPCを利用できることや従量制でのコンピュータ利用などを想定しているものだ。