日本オラクルは9月25日、同社のロジスティクス分野への取り組み強化に関する記者説明会を行った。この取り組み強化は、米国本社が2005年11月に買収を完了したG-Logの同名の物流管理アプリケーションを機能強化し、Oracle E-Business Suiteの一製品である「Oracle Transportation Management」(OTM)として提供するのに合わせて行われる。
製造業向けのシステムは、サプライチェーンやデマンドチェーンの管理を受け持つ計画系と、生産製造管理やロジスティクス分野を受け持つ実行系とに大別される。日本オラクル、執行役員アプリケーションマーケティング本部長の藤本寛氏は、同社がこれまでロジスティクス分野において統合化された機能を提供する製品を持っていなかった点に触れ、「(OTMの投入により)製造分野を包括する製品の提供が可能になった」とする。
同社では、ロジスティクスをはじめとするSCMアプリケーションのビジネス戦略責任担当者を置き、社内の営業や技術者と連携しながらOTMを積極的に推進するという。ビジネスパートナーとしては、住商情報システム、ソピア、東洋ビジネスエンジニアリング、日本ユニシス、日立コンサルティング、日立製作所、ベリングポイントの名が挙がっている。
同社の戦略責任担当者である、アプリケーション事業統括、ビジネスディベロップメントエグゼクティブの新良清氏は、ビジネスの高速化、グローバル化、サプライチェーンの複雑化といった要因に加え、消費者主導の市場における商品ライフサイクルの短期化、コンプライアンスや環境への配慮といった要請から、製造業でのビジネスプレッシャーが高まっている現状を説明。企業においては、高度なサプライチェーン管理能力と意思決定サイクルの短縮が求められているとした。
「必要なことは、サプライチェーン上の断片化された情報をリアルタイムで可視化し、意思決定サイクルを早め、的確なアクションを可能とすること。オラクルのロジスティクス・ソリューションは貨物のライフサイクルをカバーし、輸配送の最適化から、倉庫内の資産管理まで対応する」(新良氏)
OTMでは、輸送需要に基づく制約ベースの計画・最適化、輸送調達、実行、決済といった、物流に伴う一連のプロセスに流れるデータを統合し、リアルタイムに可視化およびフィードバックできる。これによって、生産性の改善と、コスト削減を実現するという。
従来からのTMS(Transportation Management System)と、OTMとの違いについて、日本オラクル、アプリケーションSC本部、インダストリーソリューションアーキテクト部、ディレクターの尾西克治氏は、「多様なコンソリ(集約・混載)方法への対応」「調達・供給(Buy&Sell)への対応」「グローバル対応」「グループ規模での統合グローバル輸送プラットフォーム」の4点を挙げる。特に「多様なコンソリ(集約・混載)方法」に関しては、在庫と生産計画などのデータを元に、時間的に最適な輸送計画を立案、実行する「時間コンソリ」に対応することで、大幅に輸送コストを下げることが可能になるという。
「物流は、これまで実際の様子が目に見えないことから“暗黒大陸”などとも呼ばれていた。グループ内組織群、グループ外企業を巻き込んだすべてのプロセスを“見える化”することにより、グローバル・ロジスティクスに挑戦的に取り組もうとする企業には、特に大きなメリットがある」(尾西氏)とした。