仮想化ソフトウェアベンダーのParallelsが、同社の主力ソフトウェア製品「Parallels Desktop for Mac」をアップデートした。同製品は、Macで複数のOSを再起動せずに動作させることを可能にするMac用仮想化ソフトウェア。
新版の最大の特徴は、「Coherence」と呼ばれる機能だ。同機能により、Parallelsを利用しているMacユーザーは、OSを切り替えることなく、仮想化環境を通じてMacデスクトップからWindowsアプリケーションにアクセスしたり、実行したりすることができるという。
同機能は、「Coherence mode」を有効にすることで作動する。このモードでは、Windowsデスクトップが裏に隠れ、WindowsアプリケーションをMac OS Xデスクトップおよびドック部分と統合可能になる。
Parallelsは声明の中で、Coherence機能は「詳細にカスタマイズが可能」だと説明している。Coherenceが有効になっているときのWindowsアプリケーションの読み込みや稼働の仕方や、タスクバーおよびスタートメニューといったWindows特有の機能を表示する方法を設定することができるという。
Parallelsの新版には、Coherenceに加え、仮想化を簡略化する「Transporter」という新機能も追加された。例えば、PCユーザーがコンピュータをMacに移行し、Windowsの設定やファイルもそのまま移動したいと考えたとき、Transporterは、PCのソフトウェアコンテンツおよび設定のすべてを、Parallelsの仮想マシンの1つに直接移すことができる。この場合でも、MacにWindowsを再インストールする必要はない。
Transporterはさらに、「PowerPC」プロセッサを搭載したMacで利用可能な「VMWare Workstation」や「Microsoft Virtual PC」などのMac向けWindows仮想化ソフトウェアを使っているユーザーが、そのワークステーションをParallels対応の仮想マシンに変換することを容易にする。
そのほかにもParallels Desktopの新版では、USB 2.0、仮想WindowsモードにおけるAppleの内蔵カメラ「iSight」、OS間のドラッグ&ドロップ、CDおよびDVD作成などの機能に対応した。
また、MacでWindowsを実行するためのAppleのソフトウェアである「Boot Camp」(同時利用は不可)についても、サポートが強化された。Parallels DesktopとBoot Campを併用しているユーザーは、1つのOSを両ソフトウェアで共用することができ、Windowsを2つ用意する必要がなくなった。
Parallels Desktopの新版の価格は、以前のバージョンと同じく、79.99ドルとなる。既存のParallelsユーザーは、無料でアップグレードが可能だ。
Parallelsの広報担当であるBenjamin Rudolph氏は、ParallelsはWindowsの最新OS「Vista」に対応しているが、「Aero Glass」はサポートしていないと述べる。ParallelsにはまだAero Glassに対応したグラフィックス機能がまだ実装されていないためだという。
もっとも、Vistaの同機能に対する対応は、「数カ月もすれば」Parallelsに組み入れられるだろうと、Rudolph氏は話している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ