SAPジャパンは12月11日、顧客関係管理(CRM)アプリケーションの新版「SAP Customer Relationship Management 2007」(SAP CRM 2007)を12月14日から提供することを発表した。「SAP Netweaver」上で稼働し、同社独自のサービス指向アーキテクチャ(エンタープライズSOA)に対応すると説明している。
新版となるSAP CRM 2007では、ユーザー画面の刷新を特長としており、操作性を高めるためにすべての画面を一から設計したという。使いやすくなったという標準画面は、エンドユーザーの部門や職位などで異なるニーズに合わせて、画面構成の表示を柔軟にカスタマイズでき、データ項目をドラッグ&ドロップでパーソナライズできると同社では説明している。
エンタープライズSOAに対応したSAP CRM 2007は、ほかのシステムを含めたエンド・トゥー・エンドのビジネスプロセスと統合可能となっているという。Adobeと共同開発した「SAP Interactive Forms by Adobe」やMicrosoftと共同開発した「Duet for Microsoft Office and SAP」と連携して、帳票や「Microsoft Office Outlook」をSAP CRMの画面として利用できる。
たとえば、アウトソーシングが多い修理サービス業などは、SAP Interactive Forms by Adobeを利用することで、PDFの作業報告書をそのまま入力画面として利用できる。作業員はオフラインでデータを入力・保存して現場でそのまま印刷でき、その後でSAP CRMに送信されたPDFをサービスレポートとして更新できることから、業務の効率化・精度を高めることができるという。
今回のSAP CRM 2007では、(1)販売促進費管理機能(Trade Promotions Management)、(2)コールセンター向け顧客対応最適化機能、(3)価格最適化機能――という3つの機能追加・機能拡張がなされている。
(1)の販売促進費管理機能は、特に消費財業界での各店舗で異なる手数料や人件費、POP広告などの販促費を効率的に管理し、個別店舗分析と販促プランの立案を可能にするというもの。
(2)の顧客対応最適化機能は、コールセンター向けに、重要な情報を動的に画面にプッシュで表示させることで、担当オペレーターのアクションを誘導するとというもの。たとえば、顧客情報と離反(チャーン)モデルを組み合わせることで、離反しそうな顧客を察知できるという。オペレーターは、表示されるコミュニケーションマニュアルを参考に、顧客の不満や他者の情報を聞くなど、離反防止のためのアクションを即座に実行できるという。
(3)は、BtoCやBtoBに対応した価格最適化機能であり、マーケティングやセールス、サービス活動の費用対効果(ROI)の分析が可能になっている。同機能は、業界で初めての提供としている。