企業革新における“エンタープライズSOA”の重要性を訴えたSAPのCEO

山下竜大(編集部) 2007年04月25日 19時50分

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 SAPがジョージア州アトランタで開催している「SAPPHIRE '07 Atlanta」カンファレンス2日目となる4月24日、基調講演にSAPのCEO(最高経営責任者)であるHenning Kagermann氏が登場。業界標準に準拠したビジネスプロセスプラットフォーム(BPP)とエンタープライズSOAの確立が企業のイノベーション(革新)にとって重要になることを強調した。

 Kagermann氏はまず、特に大規模システム構築に採用が進んでいるエンタープライズSOAの現状に関するASUG(Americas“SAP Users”Group)の調査について紹介した。

SAPのHenning Kagermann氏 SAPのCEOであるHenning Kagermann氏。

 同グループの報告では、2008年中旬までには75%の顧客がSAP ERP 6.0にアップグレードすることが予測されている。また、53%以上の顧客が、2010年までにSAP NetWeaverを戦略的なプラットフォームとして認知するだろうとしている。

 2006年4月に225社だったSAP ERP 6.0(当時は、mySAP ERP 2005)導入企業は、2007年3月現在で2574社に増えている。また、2006年4月に5881社だったNetWeaver導入企業は、2007年3月には1万3068社まで拡大した。

 「これほど速い成長を遂げた製品を見たことがない」とKagermann氏。この理由として同氏は、SAP NetWeaverが異機種環境においても統合可能なオープンインテグレーション環境であることを挙げている。

 「SAP製品を導入する顧客企業の8500社以上が非SAP環境の統合環境としてNetWeaverを利用している。NetWeaverはまた、Java仕様やWebサービス標準などに準拠しており、.Net環境とJava環境の両方をサポートしている唯一の統合環境であることが採用されている最大の理由だ」(Kagermann氏)

 Kagermann氏はさらに、同社が推進するエンタープライズSOAが採用される2つのビジネス上の理由についても話している。ひとつは「変化の加速」であり、もうひとつは「革新の分化」だ。

 変化の加速は、たとえば20分ごとにどこかの会社が買収され、3分半ごとに新しい消費者向け製品が発売されているといった現状であり、革新の分化は、製品供給者からソリューションプロバイダーへの変化が競争力になるといったビジネス環境の変化を指す。

 SAPでは、このような変化に柔軟に対応できる企業レベルでのSOA実現に向けた取り組みを2003年からスタートし、2010年までの明確なロードマップを作成。現在まで、その計画を忠実に守っている。その指針となるのが、Business Network Transformationだ。

 Business Network Transformationは、社員やサプライヤー、顧客、パートナーおよびディストリビューターなどのネットワークを最適化する同社の指針。Kagermann氏は、「変化が激しいビジネス環境において差別化部分を強化し、競争力とはならない部分の生産性を最大化できるのがBusiness Network Transformationだ」と話している。

 「1990年代はERPによるBPR(Business Process Reengineering)で生産性を向上させる時代だったが、2000年代はエンタープライズSOAによるBusiness Network Transformationでビジネスを差別化する時代になる」とKagermann氏。

 Business Network Transformationを実現するための取り組みのひとつとして同氏は、Web2.0のコンセプトを企業環境で活用するための仕組みをデモを交えて紹介した。Enterprise2.0と呼ばれることもあるこの仕組みでは、仕事のやり方を柔軟に変化させることができ、コラボレーションをインテリジェンスにできるという。

 今回のSAPPHIRE '07 Atlantaでは、企業向けWeb2.0を実現する機能を、2007年中にNetWeaverに搭載する計画も発表されている。

 その他、今後の製品ロードマップとしては、既存の製品をベースに拡張(by Evolution)することでSAP ERP 6.0を機能強化していくことはもちろん、2009年に向けて新しいプラットフォームを新規に開発(by Design)していく計画も明らかにしている。この2つの製品は、全く別々の製品ではなく、同じNetWeaver上で共存できることが最大の特長という。

 この仕組みは、中堅・中小規模向けの製品群でも採用されており、既存のパッケージを拡張して開発している開発コード「A1」と、全く新規にオンデマンドサービスとして開発されている開発コード「A1S」についても紹介された。

 Kagermann氏は、「Business Network実現のための取り組みは、我々だけではなく、ユーザー企業やパートナー企業の協力も不可欠。我々の準備は整っている。次は、顧客やパートナーと共にBusiness Network Transformationを実現していきたい」と話している。

製品ロードマップ SAP Business Suiteの製品ロードマップ(左)と中堅・中小規模向け製品のロードマップ。
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