Linuxディストリビューションである「Debian」プロジェクトの創設者で、2007年3月からSunのチーフ・オペレーティング・システム・オフィサーを務めるIan Murdock氏が、Project Indianaに取り組んでいる。インディアナ州出身のMurdock氏は、米国時間5月7日に当地で開催のJavaOneカンファレンスでこのプロジェクト関連の話題に触れたが、その名称については言及しなかった。Sunの広報担当であるRuss Castronovo氏は、Project Indianaの名称を認めている。
Sunはここ数年、UNIX系OSで1990年代が人気の絶頂であったSolarisに、輝きを取り戻す取り組みを続けてきている。しかし、その取り組みの前にはつねにLinuxを始めとする強力なライバルがいた。Sunは、パフォーマンスの向上と無料ダウンロードの提供、「OpenSolaris」と呼ばれるオープンソースプロジェクトの発足、IntelやAMDのメインストリームであるx86プロセッサ搭載サーバで稼働可能なバージョンの売り込みなど、Solaris復権に向けた取り組みを続けてきた。
LinuxとSolarisはともにUNIXから枝分かれしたOSで、たとえソースコードは違っても、近い存在である。しかし、Murdock氏が8日に述べたところによると、LinuxユーザーがSolarisを試してみることは、まったく困難だったという。
同氏はインタビューで「非常に馴染みにくいものだった。深い溝があったのだ。Linuxを熟知している人たちがSolarisにも馴染みやすいようにする必要がある」と述べた。
RedMonkのアナリストであるStephen O'Grady氏によると、この溝を埋めようというSunの取り組みは賢明なものだという。この取り組みは、Solarisの問題点を解決し、Linuxからの乗り換えを容易にし、Sunがまた初めからやり直す労力を省くことにつながるだろう。
Ubuntu Linuxのユーザーで、Solarisは必要以上に難解だと感じていたO'Grady氏は「かゆいところに手を届かせるにはどうすればよいか?既存の技術を利用する。それがオープンソースのやり方だ」と述べた。
Sunの最高経営責任者(CEO)であるJonathan Schwartz氏も、先週ブログでProject Indianaの名前に触れるなど、このプロジェクトに注目しているという。Murdock氏によると、Sunの従業員からプロジェクトについて質問があったが、現在のところ内容を伏せているのだという。