技術力の高さで日本のCG制作を牽引
OLM Digital
研究開発部門 R&Dリード
四倉達夫氏
OLM Digitalは、CG専門の制作会社としては老舗と呼べる存在だ。その特徴は社内に研究開発(R&D)部門があることだと、四倉氏はいう。
「R&D部門では、レンダリング・ファームなどのシステムを構築したり、デザイナーの要望を受けてツールやプラグインを開発したりしています。CG技術の国際会議にも積極的に参加していて、5年先の技術がどうなるっているかを常に考えて活動しています」(四倉氏)
たとえば、今年8月公開のフルCGアニメーション映画『ルドルフとイッパイアッテナ』は、主人公の猫たちの毛並みを表現するために、独自にシェーダー(レンダリング工程で陰影処理を行うプログラム)を開発したそうだ。
「Mayaや3ds MaxといったメジャーなCGソフトウェアでも毛の表現はできるのですが、標準のレンダラーでは納得できる品質が得られません。そこで、高品質レンダラーとして定評のあるArnoldを採用する一方で、シェーダーに関しては独自開発することにしたのです。映像を見ていただければおわかりかと思いますが、猫の毛のふわふわした感じがうまく表現できたと思います。この例のように、独自開発できる技術力があって初めて実現できる映像表現があり、それが当社の強みだと考えています」(四倉氏)
新世代PowerEdgeでレンダリング速度が2倍に
この『ルドルフとイッパイアッテナ』の映像を生み出したのが、Intel® Xeon® プロセッサーを搭載したDell PowerEdge R630とDell PowerEdge R730を中心に構築されたレンダリング・ファームだ。レンダリング・ファームを構成するサーバーで重要となるのは、コストパフォーマンスの高さだと四倉氏は指摘する。
映画『ルドルフとイッパイアッテナ』(©2016「ルドルフとイッパイアッテナ」製作委員会)
「TV、映画、各種ネットストリーミング配信はすでに4K制作の時代に入っていますし、8Kの時代も近い将来やってくるかもしれません。またCGクオリティに対する要求も年々多くなっています。これに伴い、レンダリングの負荷も増大するわけですが、一方で映像制作には厳しい制約があり、品質のためにいくらでも時間とコストをかけられるわけではありません。ですから、価格対性能比を見極めて一番バランスの良いサーバーを選ぶ必要があります」(四倉氏)
実際にレンダリング・ファームの構築を担当した石井氏は、機種選定について次のように説明する。
「コストパフォーマンスに優れたサーバーというのは、要するに売れ筋のたくさん出荷される機種ということになります。価格が倍の上位機種にしてもレンダリング速度は倍にはなりませんが、台数を倍にすればパフォーマンスもほぼ倍になります。今回導入したDell PowerEdge R730は世代的な進化を着実に歩んでいます。2012年導入のDell PowerEdge R620に対してコアの数が倍になり、レンダリング速度も実測値で約2倍になっています。コアの集積度が上がれば、確実に性能も上がりますから、コストパフォーマンスに優れたミドルレンジサーバーで新陳代謝させていくのがよいと考えています」(石井氏)
サポートの質と対応の速さでデルを選択
OLM Digital
研究開発部門
システムエンジニア
石井裕気氏
現在、Dell PowerEdgeサーバー一色で固められているOLM Digitalのレンダリング・ファームだが、以前はマルチベンダー構成だったそうだ。デル一社に絞ったのは、「コストパフォーマンスが非常に高い」(四倉氏)のが主な理由だが、デルの顧客対応の速さと質の高いサポートも魅力だったという。
「不具合が発生したときに原因追求に協力してくれたこともありましたし、機種選定の際も、デルはすぐに評価機を用意してくれました。こうした担当営業の対応の柔軟性はデルならではと言えるでしょう」(石井氏)
デルの顧客対応の速さについては、四倉氏も「増強のためにマシンを追加発注したときも迅速に対応してくれました」と同意する。
結果、現在ではサーバーだけでなく、デザイナーが使うワークステーションもデルのシングルベンダーになっているそうだ。
「当社ではコンパクトなスリムタワーのワークステーションを選んでいます。というのも、デザイナー・チームは制作タイトルごとに編成されるので、席の移動が頻繁に発生します。そのたびに重量級のワークステーションを運ぶのは大変ですからね。デルにはコンパクトでもパワフルなワークステーションがラインアップされているので助かっています」(石井氏)
シングルベンダーにしたことで、結果的に運用もシンプルにすることができた。
「サーバー監視は、サービスレベルではレンダリングジョブを管理するソフトウェアで行っていますが、ハードウェアの部分は、Dell PowerEdge内蔵のiDRAC(リモート管理ユニット)の自己診断機能が役立っています。iDRACがメモリエラーなどを検出して通知してくれるので、どのサーバーのどこが壊れたのか調べる手間が減らせます」(石井氏)
2016年6月現在、OLM Digitalのレンダリング・ファームで稼働しているDell PowerEdgeサーバーの台数は233台、その総コア数は4596にも上る。すでに十分な規模と呼べそうだが、今後も拡張を続ける予定だそうだ。
「プロダクション・レンダリングでは、レンダリング・ファームの性能で、制作できるタイトル数が決まります。性能が上がればタイトル数を増やせますし、タイトル数が増えれば投資の回収も早くでき、次の投資が可能になる。CGは技術進化のスピードが速いので、レンダリング・ファームを陳腐化させないためには、このサイクルを続けることが重要です」(四倉氏)
日本のCG制作を牽引するOLM Digitalの基盤は、今後もデルのマシンで支えられていくのだろう。四倉氏は、デルへの期待を次のように語った。
「デルにはインテルとの間に強力なパートナーシップを築いていて、デルのマシンはインテルアーキテクチャーのリファレンス機的な位置づけにあると感じています。それだけ安心感もありますし、新世代CPU搭載機のリリースも早い。これからもコストパフォーマンスの高いマシンをどんどん投入してほしいですね」(四倉氏)
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