元レッドハット纐纈氏が社長の新ソフォス、中小企業向けにチャネル販売拡大へ

三浦優子

2014-04-03 18:42

 ソフォスは4月3日、日本法人の代表取締役社長に就任した纐纈昌嗣(こうけつ・まさつぐ)氏による新年度事業方針説明会を開催した。ソフォスは4月1日付けで新年度をスタート。纐纈氏を迎え、中小企業をターゲットとしたチャネル販売を拡充する。そのために新パートナープログラムを実施し、ソリューションパートナー数を現行の6社から12社へ、販売店数を50社に拡大する。

 (1)買収で獲得した統合脅威管理(UTM)アプライアンス「Sophos UTM」の販売を拡大するために社内にネットワークセキュリティ事業部を設立し、20社の販売店を新規に獲得、(2)新規クラウドセキュリティ製品の導入で中小企業に最適なセキュリティ製品の展開――を2015年度の日本法人の戦略とする。纐纈氏は「体制を整え、まず売り上げ30%増を目標とする。その後、3年くらいかけ、日本法人だけで売り上げ40億円が実現するような会社へと成長させたい」と話した。

纐纈昌嗣氏
ソフォス 代表取締役社長 纐纈昌嗣氏

どぶ板戦略でチャネルを構築

 ソフォスは1985年に英国で設立。現在は全世界従業員数2200人、2013年度売り上げは日本円で約400億円という。

 「セキュリティを提供する企業としては老舗だが、企業向け製品が多く、一般にはあまり知られていない。大きな特徴はUNIXやLinux、Mac、Windows、さらにFreeBSDとほとんどのOSをカバーするサーバセキュリティ製品があり、セキュリティ対策をオールインワンで実現するアプライアンス、スマホ、タブレット、ストレージと全方位でセキュリティを担保する製品を持っていることが大きな特徴となっている」

 日本法人は2000年に設立し、従業員数50人体制で、これまで直販で製品を提供してきた。「本社では3年前から方針を転換し、チャネルビジネスを拡大してきた。日本法人も同様で、私も前職のレッドハット時代に進めたチャネル開拓が評価され、今回の社長就任となった。ソフォスでもどぶ板戦略でチャネル構築を進める」

 チャネル戦略では新パートナープログラムを導入。「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」の3ランクのパートナー制度で協力関係を強化する。現在は6社のソリューションパートナーを12社に倍増し、50社の販売店ネットワークを構築する。

 「今後、中小企業への販売を強化する計画だが、直販だけでは中小企業マーケットを開拓していくことはできない。そのためにチャネル開拓が不可欠となる。販売店の中に当社の技術を持った人材が不可欠となるので、新しいパートナープログラムで情報提供、マーケティング協力などを進める」

 製品としては、ネットワークセキュリティ事業部をソフォス社内に設立し、UTMアプライアンスの売上拡大を進める。日本ではネットワークサービスプロバイダーへOEMとして提供し、1万台販売の実績を持つ。

Sophos UTM
Sophos UTM
セキュリティ製品群の全体像 セキュリティ製品群の全体像
※クリックすると拡大画像が見られます

 「UTMアプライアンスは、2011年のAstaro買収で製品ラインアップに加わった。Sophos UTMはベースがLinuxで、中に入っているソフトはオープンソースになっている。ソフト単体でも利用できるが、UTMとして提供することでネットワークやメール、ウェブセキュリティをワンボックスで導入、管理も容易に利用できることが特徴となっている」

 この特徴を活かし、新たに20社の販売店を開拓。そのネットワークで売上金額を2014年度比50%増とすることを目指す。

 新たにクラウドセキュリティ製品(Sophos Cloud)を導入する予定で、「Amazon Web Services(AWS)上でUTMが動くものなど、中小企業に最適なセキュリティを提供していく」と、この分野でも中小企業市場をターゲットとしていく。

 Sophos Cloudは、マルウェア対策やホスト侵入防止ステム(HIPS)、端末制御を統合しており、PCにエージェントをインストールして利用できる。ウェブでのマルウェアスキャンとウェブフィルタリングは統合されている。

 日本法人の売上額は明らかにしていないが、「4月からスタートした2015年度は、前年比30%の売上増を目指す。この数字に満足しているわけではないが、体制を構築することで3年後には日本法人だけで売り上げ40億円を狙える会社としていきたい」と纐纈氏は意欲を語った。

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