仮想化(バーチャリゼーション、バーチャライゼーション)や「仮想xxx」(仮想メモリ、仮想ディスクなど)という表現は古くから情報システムの世界で広く使われている。仮想化とは「物理的な実体を隠して、論理的(仮想的)な実体を利用者側に見せるようにする」ことで何らかのメリットを得るためのテクノロジーである。
たとえば、仮想メモリとは、物理的なメモリサイズよりはるかに大きい論理メモリ空間をプログラムが使用できるようにするテクノロジである。実際には、システムはディスク上のスワップファイルと物理メモリの間で適宜データを移動することで、仮想的な巨大メモリ空間を作り出しているわけだが、この内部的仕組みは一般プログラマーには見えない。仮想メモリによりプログラムの開発がきわめて容易になるというメリットが生まれた(今では信じられないかもしれないが、過去においては、プログラマーがマシンのメモリサイズを意識してプログラミングを行わなければならない時代もあったのである)。
仮想化は情報システムのあらゆる分野で活用される概念だが、今日、特に注目を集めているのはサーバの仮想化である。単に仮想化と言った時にはサーバの仮想化を指すことが多い。通常は一台の物理的なサーバを分割することを指す。仮想マシン(VM)と呼ばれることもある。アプリケーションの立場から見るとあたかも1台のサーバ上に複数の仮想的なサーバマシンが作られているように見えるからである。
このサーバ仮想化によりどのようなメリットが得られるのだろうか?
そもそも、1台の大型サーバを仮想化して分割して使うよりも、小型サーバを複数台買った方が安上がりなのではないだろうか?
その答は、サーバ仮想化が運用管理の負荷削減に貢献するという点にある。一般企業の情報システムでは、ハードやソフトなどの「物のコスト」と比較して、運用管理に要する「人のコスト」の方が高いことが通常だ。すなわち、人手による運用管理負荷を削減する試みを行わない限り、情報システムのコストを下げることは難しいということだ。そして、サーバ仮想化は運用管理コストの削減に大きく貢献できるのだ。
企業コンピューティングの世界では、可能な限りサーバの台数を減らしたいという要請がある。100台のサーバを管理するということは100個の管理対象があるということだ。KVM(ディスプレイ切り替え器)を駆使したとしてもシステムの監視だけでも大変だろう。ソフトウェアのバージョンアップも100回行わなければならない。バックアップの負荷も大きい。
数多くのアプリケーションを少数の大型サーバで集中稼働することによる運用管理上のメリットは大きい。これが、サーバ統合という考え方だ。しかし、サーバ統合の実現には多くの課題がある。たとえば、アプリケーションごとに必要とされるOSが異なったり、前提バージョンが異なったりする場合には、1台のサーバ上のひとつのOSの下で複数アプリケーションを稼働することはできない。結局、OSやバージョンごとにサーバを設置する必要が生じ、サーバ統合にも限界が生じることになる。
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