JavaFXはJava環境でRIAを構築する技術としてリリースしたスクリプト言語だ。オープンソースで開発が進められており、内容は随時更新されている。
前回は関数、メソッド、例外処理について紹介した。これらをベースにして、今回はクラスと配列を定義してみよう。JavaFXでは宣言型の構文が採用され、JavaScriptのように同じクラスに属するプロパティとメソッドとを別のブロックで定義できるようになっている。配列に関してはJavaと異なる点が多く、Javaプログラマは違和感を覚えるかもしれないが、スクリプト言語では一般的な要素が多く取り入れられている。
それでは、クラスを定義するところから始めよう。
クラスの定義
まずはリスト3-1のように、スケジュールを表すScheduleクラスを定義してみた。プロパティはattributeに続けて定義する。データ型を宣言するときは、前回の関数やメソッドの場合と同様に、「名称 : データ型」のように記述する。メソッドはoperationの後に名称や戻り値の型を定義する。関数の場合はfunctionの後に同様の記述をすればよい。
リスト3-1 スケジュールを表すクラス
import java.util.Date;
class Schedule {
attribute business : String; // 用件
attribute place : String; // 場所
attribute start : Date; // 開始時刻
attribute end : Date; // 終了時刻
operation toString() : String; // 文字列表示用
}
インスタンスの生成
Scheduleクラスのインスタンスを生成するには、Javaと同じnewを用いる方法か、CSS(スタイルシート)に似た構文による方法とがある。それぞれについて、リスト3-2、リスト3-3に示す。まだtoString()メソッドの内容を定義していないが、このメソッドを必要とするまで問題にはならない。これはスクリプト言語らしい部分だ。
リスト3-2のほうがJavaプログラマには馴染みやすいだろう。しかし、RIA構築にはデザイナの協力も欠かせない。そこでリスト3-3のような構文を取り入れ、彼らにも馴染んでもらおうとしている。こうしたところもコーディング基準を定める際には注意が必要だろう。
リスト3-2 newによるインスタンス生成
import java.text.SimpleDateFormat;
// ..... リスト3-1のクラス定義 .....
var sdf = new SimpleDateFormat( 'yyyy/MM/dd HH:mm' );
var s = new Schedule();
s.business = '打ち合わせ';
s.place = '会議室';
s.start = sdf.parse( '2007/07/10 13:00' );
s.end = sdf.parse( '2007/07/10 14:00' );
リスト3-3 {〜}でくくってインスタンス生成
import java.text.SimpleDateFormat;
// ..... リスト3-1のクラス定義 .....
var sdf = new SimpleDateFormat( 'yyyy/MM/dd HH:mm' );
var s = Schedule {
business : '打ち合わせ'
place : '会議室'
start : sdf.parse( '2007/07/10 13:00' )
end : sdf.parse( '2007/07/10 14:00' )
};