Microsoftの「Office 2010」ローンチに合わせてGoogleが自社ソフトウェアを売り込んでいる。しかし、Forrester Researchによると、現実はGoogleとMicrosoftとの間には大きな差があるという。
Forresterが米国時間5月11日に発表した最新の調査報告書によると、調査した企業の81%が「Office 2007」を導入、78%が「SharePoint」に対応しているという。それに対し、「Google Apps」はわずか4%にとどまっている。また、回答企業の3分の1が「今後12カ月中にOffice 2010にアップグレードすることを検討中」と回答したという(Forresterの調査は、北米と欧州の大企業と中小規模企業、115社の決定権限を持つ人を対象とする)。
調査では、Office 2010にアップグレードする前に「SharePoint 2010」にアップグレードすることを検討している企業が多いこともわかった。また、「Officeの代替」がインストールされているところでは、これらの代替ソフトウェアはMicrosoft Officeを置き換えるものというより、補完するものとして使われていることもわかった。大企業の中で特定の作業セグメントに限定して使われている場合もあるという。Forresterは以下のような結論を記している。
現時点で、Microsoft Officeの代替は、われわれが調査したエンタープライズのニーズを完全に満たしていない。エンドユーザーがこれら代替を受け入れるにあたって障害となっているのは、必要な機能がない、サードパーティーとの統合が必要、ユーザーが受け入れない、Officeとシームレスに相互運用できない、などの理由に加えレガシーコンテンツのサポートへのニーズがあるからだ。今後、Google、OpenOffice.orgなどの代替技術が成熟するにつれ、このギャップは縮小されていくと予想される。
では、なぜ企業はOffice 2010にアップグレードしたいのか?以下に、その理由を調べたForresterの調査を紹介する(この調査では、回答者は複数回答ができる)。
理由のトップ3は、以下のようになる。
- アップグレードにライセンスプログラムが含まれているから(52%)
- アップグレードすることでメリットが得られるから(39%)
- パートナー企業や顧客との互換性のため(35%)
それならば、アップグレードしたくない理由はどうなっているのだろう。以下がForresterの調査結果だ。
Office 2010にアップグレードしたくない理由トップ3は、以下のようになる。
- Office 2007にアップグレードしたばかりである/アップグレード中である(54%)
- アップグレードする理由がない(37%)
- 他のオフィススイートにマイグレーションする(7%)
Googleはこの数週間、Microsoftをカバーするブロガーやプレスに会い、Google DocsおよびGoogle AppsはMicrosoftのOffice/SharePointにはない特徴を提供し、市場に食い込みつつあるというメッセージを伝えている。比較は顧客(価格影響力を得られる)とパートナー企業(価格影響力とポートフォリオの充実)の両方にとってよいことだと思う。だが、わたしにはまだ、大企業がGoogleを導入しているようには見えない(実際、Googleの幹部も「大規模企業の採用は数十社」しかないことを認めており、相変わらずGenentechばかりを導入事例として宣伝しているのだ)。
Google幹部は、Microsoftの「Office Docs.com」(FUSE Labsによる「Office Web Apps」のFacebook統合プロジェクト)発表などの動きは自分たちを「認めた」ことだと主張している。わたしもGoogleに合意する。Office Docs.comというネーミングは明らかにGoogle Docsを意識したものだ。しかし、Googleは「われわれはOfficeの代替ではなく、(Officeを)補完するコラボレーションツールだ」というメッセージをプッシュした方が効果的ではないかと思う。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ