一部の開発者は、フリーソフトウェアとオープンソースソフトウェアは、商業的利益がなくても十分に成立すると考えている。しかし、Linus Torvalds氏は違う。Torvalds氏は、ある興味深いインタビューの中で、Linuxは商業的な支援がなければ廃れていただろうと示唆している。
Linuxはオープンソース製品としてリリースしていなかったら、興味深い製品には全くならなかっただろう。わたしのオリジナルの「非営利」ライセンスからGPLv2に変更したのは重要だったとも思う。なぜなら、商業的な利益が実際には当初から非常に重要だったからだ。多くの優れたインストーラを生み出し、人々を使い勝手の向上へと駆り立てた原動力は商用ディストリビューションの存在だった。純然たるテクノロジと市場を経由してもたらされるようなユーザーからのプレッシャーをうまくバランスさせる必要がある。
しかし、われわれにとって必要のないものはMicrosoftが持ち出すたぐいの商業的利益である。
Q:Microsoftは最近、フリーソフトウェアと一部の電子メールプログラムが同社の235件の特許を侵害していると主張した。しかし、Microsoftは今のところは提訴しないと言っている。これは新しい法的な悪夢の始まりなのか。
A:個人的にはこれは主としてもう1つのFUD(Fear、Uncertainty and Doubtの略:競合製品に対する恐れ、不確かさ、疑わしさをあおるマーケティング戦略)の戦いだと思っている。Microsoftは技術的な面で実に厳しい競争を強いられており、その代わりに以前から価格で競争しようと試みてきたが、オープンソースの存在とは無関係に、やはりうまくいっていない。そこで引き続きソフトウェアパッケージをバンドルし、市場の慣性を利用して生き延びようとしているが、その慣性に今度はFUDを追加したいと考えているのだ。
図星だ。Microsoftの特許を巡るFUD戦略は、主としてオープンソース製品の価格をMicrosoftが太刀打ちできる程度まで高めるための手段なのだ。換言すれば、Microsoftが戦っているのは開発モデルの戦いではなくてビジネスモデルの戦いなのだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ