「Linuxにはこれができない」「あれができない」といった話や、「Linuxでは簡単な作業をひとつやるのにも、大量の壁を乗り越える必要がある」という話を聞く。悪いうわさや俗説の多さは、Bill Gates氏の財力にも匹敵するほどだ。しかし、わたしが心配なのは事実に反するそうした数多くのことではなく、それらを吹聴する人たちの確実性だ。そこでわたしは、そういった意地の悪い発言が広がる前に、問題を解決する手間をかけることにした。ここで挙げた問題ひとつひとつは決定的なものではないが、すべてを合わせると、Linuxへの移行をためらわせるには十分だ。
1.自分でデバイスドライバを書かなくてはならない
この話はお笑い種だ。Linuxを12年間使っていて、デバイスドライバの作成に少しでも近いことがあったとすれば、WinModemをダイアルアップISPに繋ぎっぱなしの状態にしておくための、bashスクリプトを書いたことくらいだ。あれは1997年頃だった。その頃には、Linuxで動かないハードウェアを見つけるのもずいぶん簡単だった。しかし、今では状況は変わっている。Linuxは最近では、ハードウェアサポートの面でも急速に進歩している。ハードウェアのドライバを書かなくてはならないのは、ハードウェアを作っている会社や、ディストリビューション(や、カーネルのさまざまな面)に関わっているプログラマーくらいのものだ。Linuxのエンドユーザーは、デバイスドライバを見ることは決してないだろう。
2.Linuxを使うにはコマンドラインを知っている必要がある
これも笑ってしまう。Linuxユーザーがコマンドラインを使わずに、どれだけ日常的な作業を続けられるか、ためしにやらせてみればいい。どれだけやれるか驚くだろう。もちろん、コマンドラインはGUIを使ったツールよりもずっと効率的だ。しかし、Linuxが提供している数多くのコマンドを使いたくなければ、使わなくてもいいのだ。もし、ディストリビューションのリリースサイクルの間に、どうしてもコマンドラインを使わなければならない場面があるとすれば、GUIを調べ切れていないのだ。しっかり調べ回って、環境を知った方がいい。
3.ゲームがないのでLinuxは成功しない
ゲームファンはこんな風に考えたいようだが、これは間違いだ。ゲームはWindowsの成功を左右してはいないし、Linuxの成功を左右するものでもない。どんなPCでも、もっともよく使われているアプリケーションはブラウザ、メーラー、ワープロ、表計算ソフト、財務ソフトだ。ソリティアやウェブベースのFlashゲームを除けば、ゲームはPCユーザーのごく一部にしか影響を与えていない。そして、Linuxのパワーユーザーなら誰でも、LinuxでWindows用のゲームをやるには、Cedegaが役に立つことを知っている。