前回は、レコメンド技術の歴史を振り返り、ネットマーケティングの変化やレコメンドソリューションの低価格化によってこの技術が再び注目されていることを説明した。今回は、レコメンド技術の種類について解説しようと思う。
ECサイトでよく用いられるレコメンデーションには、「人気商品ランキング」、「閲覧・購入履歴」、「あなたにおすすめの商品」といった3タイプがある。人気商品ランキングなら、数多く購入されている商品のランキングをトップページなどに表示し、閲覧・購入履歴であれば、Cookieから過去の履歴を基に「最近チェックした商品」として表示する。しかし、「あなたにおすすめの商品」となると、データを整理し、複雑のロジックから的確なものをレコメンドしなくてはならない。そこで必要となるのがレコメンド技術だ。
一言にレコメンド技術といっても、ネットマーケティングの変化により、求められる精度や手法は多岐に渡る。ベンダーが提供するASP型レコメンドソリューションも日々進化し、差別化が進んでいる。こうした中、現在のレコメンド技術を大別すると、1. ルールベース方式、2. コンテンツベースフィルタリング方式、3. 協調フィルタリング方式、4. ベイジアンネットワーク方式の4つが挙げられる。
レコメンド方式をひとつずつ紹介する前に、まずはレコメンド機能の一連の流れを考えてみよう。レコメンド機能を3段階に分けると、次のようになる。
- レコメンドするために必要な情報を収集する
- 収集した情報をルールに基づきモデル化する
- 特定の条件によりマッチングしたアイテムを表示する
収集すべき情報とは、サイトの傾向分析によるマーケティングデータや、ユーザーが直接入力した会員情報およびアンケートによる顧客データ、購買や問合わせなどの利用履歴データ、ウェブアクセス履歴データなどが挙げられる。こうした情報を、サイト運営者による独自のルールか、レコメンドエンジンが自動作成するルールに基づいて分析し、マッチングした商品をレコメンドエリアに表示するまでがレコメンド機能の一連の流れとなる。表示方法は開発ベンダーや導入企業で異なるが、運営サイトのデザインなどとの兼ね合いによりカスタマイズすることが一般的だ。
この3段階の流れの中で、「レコメンドするための情報は何か」、「何をもってレコメンドするためのルールとするか」という切り口の違いが、最初に挙げた4つのレコメンド方式の違いに結びつく。