第10回目の「あったらいいな」は、サイボウズの「長く働いてもらうこと」への取り組みについてです。ITベンチャー企業のイメージが強いサイボウズですが、近年では大手企業の社員支援制度の良さを見習い、独自の制度として取り入れることで離職率の低減に成功しています。2006年8月より注力してきた取り組みの中には、最長6年までの育児休暇や、「PS」や「DS」といった気になるネーミングで呼ばれる選択型の報酬制度、さまざまなクラブ活動などがあります。
社内恋愛発展度 | ★★★★★ |
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自分の生活スタイルに合わせて仕事ができる度 | ★★★★☆ |
社内コミュニケーションの潤滑度 | ★★★★★ |
仕事が楽しくできそう度 | ★★★☆☆ |
育児と仕事が両立できる度 | ★★★★☆ |
サイボウズでは社員同士とても仲が良く、社内恋愛も多いとのこと。今回は性別の分け隔てなく、仕事に取り組みやすい環境づくりのための「ワーク・ライフ・バランス推進制度」と、充実した社内コミュニケーション活性化のための「部活動制度」の秘密に迫ります。
人事制度見直しのきっかけとは?
サイボウズ 取締役副社長 兼 人事本部長の山田理さんにお話を伺いしました。
サイボウズと言えば、「ボウズマン」のキャラクターがすっかりおなじみの、ウェブグループウェアを中心とする企業向けソフトウェアを提供する企業です。1997年創業の同社は、国内のITベンチャーの先駆けとも言える会社ですが、会社規模の拡大と共に、社内の人材により目を向けるようになり、社内制度への考え方にも変化が表れてきたそうです。
まだ社員15名規模であった2000年からサイボウズに在籍している山田本部長は、「ベンチャーとして立ち上げて会社が軌道に乗るまでは、明日会社があるかどうかも分からない状況で、どうビジネスを成長させて行くかが一番の課題でした。人を育てるよりも、まずは即戦力が必要とされ、とにかくがんがん働いて、がんばった分のリターンを受け取るといった成果報酬型でやってきました」と説明します。
こうした勢いの中で同社は株式上場し、米国やベトナム、上海での法人設立をはじめ、十数社に及ぶ連結子会社の設立など、企業としての立ち位置を確実なものにしてきました。現在の従業員数は約270名、今年の新卒社員採用は27名となっています。
山田本部長は「会社が急成長を続けてきた時期には、人も大勢入ってきましたが、短期で成果を出した後、辞めて行くメンバーも増えていました。会社側の人事体制は成果主義でしたから文句は言えませんが、経験を重ね、せっかく培ったノウハウも一緒に持って出て行ってしまう。さらには、今後の人材確保を考えた時に、新卒や女性も含め新しい人材を採用し、人を育てて行かなければならない時代が来た。経験して成長してもらうにはそれなりに時間がかかりますし、それを伝承するにも時間がかかります。そこで、サイボウズで『長く働いてもらえること』を目指し、制度を見直そうということになりました。そのスタートは、青野慶久現社長が、前社長から社長職を受け継いで就任した2005年前後にさかのぼります」と、人事制度を見直すことになった経緯と時期を説明します。
育児休暇は最長6年までOK
「男女に関係なく、とにかく社員が長く働きやすい環境作りにこだわって、試行錯誤しながらやってきたところ」と、山田本部長が語る同社の施策とはどのようなものでしょうか。同社では、2006年に「ワーク・ライフ・バランス支援制度」を大幅に見直し、改善を始めました。