先週一週間に渡って電機大手11社の2007年度連結決算を読み解いてきた。松下電器産業、シャープ、ソニー、日立製作所、東芝、NEC、富士通、三菱電機、パイオニア、日本ビクター、三洋電機と、各社の決算とその解説は下記のリンクから参照して頂きたい。
- 電機大手11社の2007年度決算を読む--松下・シャープ
- 電機大手11社の2007年度決算を読む--ソニー・日立
- 電機大手11社の2007年度決算を読む--東芝・NEC
- 電機大手11社の2007年度決算を読む--富士通・三菱
- 電機大手11社の2007年度決算を読む--パイオニア・ビクター・三洋
薄型テレビ事業は計画未達、赤字など相次ぐ
今回は電機大手各社の2007年度連結決算のなかから、注目される薄型テレビ事業について取り上げて見よう。
北京五輪需要の助走という側面もあり、全般的には大幅な成長を見せているものの、計画未達や赤字が相次ぐなど、決して手放しでは喜べない内容となっている。
ソニー:営業損失が増加するも拡大戦略をとる
2007年度実績で最大の出荷台数となったのはソニーだ。全世界で前年比68%増となる1060万台を出荷した。100万台を目標としていた同社にとって、計画達成は明るい話題となった。
しかし、売上高は前年比11%増の1兆3500億円となったものの、営業損失は前年に比べて約500億増加の730億円の赤字。ソニー 執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏は、「上期において商品競争力が弱かったため、価格対応を迫られた。もともと価格設定が高かったこともあり、他社に比べて値下がり率が高かった。また、下期も価格攻勢が厳しかったこと、パネル供給がタイトであったこと、一部で空輸による輸送を行ったことから経費負担が増加し、損失が拡大した」と語る。
しかし、2008年度もソニーの拡大戦略は変わらない。2008年度の薄型テレビの出荷計画は1700万台と、前年比60%増という高い成長を予測。年間2000万台規模を出荷する韓国のサムスン電子に追随することで、世界市場における存在感を高める。
「標準パネルを採用したエントリーモデルを用意し、新たなチャネルを開拓していく」とする一方、「台数を増やし固定費負担を削減することで、2008年度は黒字転換を図る」と語る。
同時に、現在5つあるシャーシを2シャーシに削減するなどの各種コスト削減への取り組みも促進する考えだ。