Wells Fargoの正攻法
米国の大手銀行であるWells Fargoが1月11日、これまで提供してきたパーソナルファイナンシャルマネジメント(PFM)のツール群を統合した「My Money Map」を発表した。同行はこれにより、顧客がお金の管理をしたり、将来への計画が立て易くなるとしている。
このMy Money Mapには、支出をその使途別に自動分類したり、貯蓄の管理を行ったり、それらの状況をモニターするような機能が含まれている。そして同行はプレスリリースにてこう言っている(翻訳は筆者)。
最近のKelton Researchの調査によれば、消費者のうち72%の人々は、銀行にいくらあるかよりも、自分の体重の方が気になると言っている。Wells Fargoは、それを変えたいのです。我々は皆、貯蓄の目標を定めることが重要だと知っています。そして、それを継続することが最も大変だということも。My Money Mapは、お客様が目標を決めるだけではなく、それを達成することをお手伝いします。
やっぱり体重の方が気になるんじゃない?
体重と貯蓄の例えはなかなか面白いなと思いつつも、的を射ているだけにそれが容易に逆転するとは想像できない。引退後に向けてしっかりお金を管理し、貯蓄していくことが重要なのは、米国においても日本においても同じ。
しかし、そのリテラシーがなかなか高まらないのも、実はいずれの国でも同様の悩みなのである。米国は投資マインドが高いと言われているが、それはかなり富裕層に偏った話であって、一般市民の金融リテラシーは、体重との対比にあるとおり、そんなに高くはない。
そこで、それを管理しやすいツールを提供することで、顧客の金融リテラシーを高め、計画的に貯蓄を行うことを促す。これはお金を預かる銀行からすると、至極当然のアプローチである。
しかし、かつて電子マネーの普及が銀行主導で進まなかったように、お金に関わることであればすべて銀行が基点になるかと言えばそうでもない。むしろ、消費者の利便性に根ざした領域にこそ、普及のドライバーが隠れていたりするのである。電子マネーが交通系や流通系といった、小銭の遣り取りが面倒な領域から広がっていったように。