ドイツのSAPがビジネスインテリジェンス(BI)製品の最新版「SAP BusinessObjects 4.0」を発表した。
BIが普及期に入り差別化が要求されるなか、SAPはどのような機能強化を進めていくのか?10月22日まで米ラスベガスで開催された技術者向けのカンファレンス「SAP TechEd 2010」において、SAP BusinessObjectsのソリューション担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるMarge Breya氏に聞いた。
Breya氏は旧BusinessObjects出身だ。同社の買収から2年半が経過した今、2年ぶりのアップデートとなるBusinessObjects 4.0について、
- 「Crystal Reports」「Xcelsius」などで一貫性のあるユーザーインターフェース提供
- 非構造化データを利用できる多次元セマンティックレイヤ
- SAP製品ポートフォリオとの統合強化
- ユーザー主導型ツールの追加
――の4つの特徴を挙げた。最新版は2010年中に提供を開始する。
BusinessObjectsは2年毎にアップデートしており、次のメジャーアップデートは2012年と予想できる。今後、SAP BusinessObjectsはどのように進化するのだろう?以下にBreya氏の見解を紹介する。
--今後の機能強化の計画は? 将来を予見する予測分析のような方向を考えているのか?
いくつかの分野を考えています。まず、非構造化データ分析の強化です。まだ分析されていないコンテンツがたくさんあるのです。
非構造化データは引き続き、我々の大きなフォーカス分野です。顧客サポートの例では、コールセンターに何件の電話があったか、それはどの製品だったかなど、さまざまな量的分析が可能です。しかし、音声をテキスト化する技術により、電話の向こうにいる顧客の感情とその強弱を分析することもできます。
「ちょっとわからないのですが」と「この製品が大嫌いだ」は明らかに異なるのです。構造化と非構造化の両方を分析対象とすることで、何が起こっているのかが全方位で理解できるのです。
この分野では2007年に買収したテキスト分析企業Inxight Softwareの技術を土台とします。この技術はOEMなどに人気で、買収は正しい決断だったと思います。現在、多次元セマンティックレイヤへの統合や、構造化と非構造化情報を適切に利用できるツールなどを開発している段階です。
予測分析という点では、3年ほど前にIBMと提携してSPSSを利用しています。同時に計算エンジンのTREXを利用することで、予測分析で面白いことができるのではないかと探っているところです。これはまだ調査中で詳しいことはお話しできませんが、計算エンジンのアルゴリズムとインメモリ技術を組み合わせると、高速なインラインでの意思決定が可能になると見ています。