2010年7月、SAPによるSybaseの合併手続きが完了した。これを受けて9月1日、SAPの共同CEOであるBill McDermott氏とJim Hagemann Snabe氏、SybaseのCEOであるJohn Chen氏、SAP Asia Pacific JapanのプレジデントであるSteve Watts氏が、アジア地域の報道関係者、アナリストを対象に、今後の方向性および製品戦略について説明を行った。会見は北京で行われ、東京大手町のSAPジャパン本社にライブ中継された。
会見においてMcDermott氏は、「SAPは、25の業界と130カ国において、ビジネスアプリケーション、ビジネスインテリジェンス(BI)、ビジネスアナリティクスにおけるマーケットリーダーとなっている。今回のSybaseの買収により、モビリティの領域でもリーダーとなる。成長が著しい中国市場をはじめ、アジアパシフィック、日本市場でも存在感を発揮したい」とコメントした。
続けてSnabe氏は「モビリティへと広がりをみせるということは、すべての社員がリアルタイムのアナリティクスを利用でき、企業で何が行っているのかということを常に理解できる。また、インメモリコンピューティング技術を活用することで、モビリティ環境でのビジネスアプリケーション、ビジネスアナリティクスの提供を加速できる。インメモリコンピューティング技術は、ハードウェアにフォーカスしたものではなく、あくまでもソフトウェアを最適化するための技術であり、これにより、我々にとっては新たなビジネスチャンスが生まれると期待している。Sybaseと一緒になることで、顧客に大きな価値を提供でき、より多くの選択肢を提供できるようになる。さらにエコシステムにおいても強化されることになり、SAPとSybaseのパートナーシップは、エンタープライズモビリティ、ビジネスアナリティクス、エンタープライズインフォメーションマネジメントの分野において、新たなビジネスチャンスを生むものとなる。SAPのパートナー各社がモビリティプラットフォームにおいて、新たなモバイルアプリケーションを構築することが可能になる」とした。
Sybase CEOのChen氏は、「これまで両社はモバイルCRM分野などにおいて協業関係にあり、2社が一緒になるのは自然なことともいえる。お互いに、財政的に強固なものがあり、市場、製品、技術の面で補完できる環境にある。SAPは、全世界に10万社以上のユーザーを持ち、最近では中南米に強力に展開している。それに対して、Sybaseは米国市場での高い実績とともに、中国市場では3年連続で2桁成長を遂げている。両社の協業により、今後9カ月以内に、モバイルミドルウェアによるプラットフォームを提供し、SDKも発表する。モバイルアプリケーションは、SAP以外の環境でも運用できるようにする」などとした。
両社はこれまでにも、「Sybase Mobile Sales for the SAP Customer Relationship Management(SAP CRM)」および「Sybase Mobile Workflow for SAP Business Suite」の共同開発と提供を行っている経緯などがあった。
また、SAP Asia Pacific JapanプレジデントのWatts氏は、「18カ月でデータ量は2倍になっており、スマートフォンなどの新たなデバイスの広がりも加速している。市場が大きく変化するなかで、日本のような成熟した市場でも新たなデバイスへの需要は高まり、中国のような成長市場ではデスクトップから一足飛びに、スマートフォンやタブレットに広がっていくことになるだろう。ベトナムやインドネシアなどの東南アジアの市場もビジネス規模が急速に拡大している。SAPはどのような種類のデバイスにも対応し、いつでもエンタープライズソフトウェアと次世代BIのフルスイートを提供できる」などとした。