「Ubuntu」の開発元であるCanonicalは、コンテナ管理ツールとして「Kubernetes」を強く支持している。といっても、DevOps分野でKubernetesのみに目を向けているというわけではない。同社は米国時間11月30日、商用サポートの付いた「Commercially Supported Docker Engine(CS Docker Engine)」をUbuntu上で利用可能にすることを目的としたDockerとの提携を発表した。
コンテナをIT分野のメインストリームに押し上げたDockerは、オーケストレーション機能を組み込んだ軽量の商用コンテナ実行環境として「Docker Engine」を開発した企業だ。そのオーケストレーション機能を用いることで管理者は、ノードのクラスタをまたがる分散アプリケーションを宣言的に定義できるようになる。Docker Engineは、各エンジンが自己組織機能と自己修復機能を備えた分散システムにおける均質なビルディングブロックとして動作できるという分散モデルに基づいている。
CanonicalとDockerの提携により、共同の顧客に効率的な運用とサポートがもたらされる。Dockerは、維持管理された安定版のDockerをUbuntuのsnapパッケージとしてリリースする。一方Canonicalは、CS Docker Engine向けのLevel 1とLevel 2の技術サポートを受け持つ。なお、Level 3のサポートはDockerが受け持つ。またCanonicalは、「Docker Hub」上でのセキュアなUbuntuイメージのグローバルな可用性を保証する。
Ubuntuは既に、クラウドで最も普及しているLinuxという地位を獲得している。このため、コンテナを中心に据えた環境におけるDevOpsプラットフォームとしてUbuntuが多用されているのも驚くにはあたらない。Canonicalでクラウド関連のアライアンスおよび事業展開担当バイスプレジデントを務めるJohn Zannos氏は「UbuntuとDockerの組み合わせは、スケールアウト可能なコンテナの運用形態として普及しており、今回の提携によってわれわれの共同顧客層は、CS Docker Engineを用いたDevOps環境を最速かつ最も容易に手に入れられるようになる」と発表で説明している。
Dockerの事業展開および技術アライアンス担当バイスプレジデントNick Stinemates氏は「今回の提携によって、CS Docker Engineのアジリティやポータビリティ、セキュリティといったメリットがより広範囲のUbuntuコミュニティーにもたらされることになるため、顧客はより多くの選択肢を手にできるようになる。また、Ubuntuを使用している顧客は公式なDockerサポートの恩恵を受けられるようになる。こういったサポートは、ほとんどのLinuxディストリビューションでは利用できない。われわれは今回、顧客がソフトウェアのサプライチェーン全般を通じたさらなる効率化を容易に実現できるようにするために手を結んだ」と述べている。
商用サポート版のDocker Engineは、ソフトウェアサブスクリプション形式で提供されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。