オンデマンドアプリケーションの選択は企業文化に関わる問題

Dan Farber(ZDNet.com) 2005年06月24日 21時51分

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 何カ月もの噂や予告を経て、Salesfoce.comはようやくオンデマンドCRMソフトウェアプラットフォームの最新版をリリースした(これは同社の18世代目の製品にあたる)。Salesforceのグローバルマーケティング担当バイスプレジデントのPhill Robinsonは、「これから3年のうちには、すべてのアプリケーションはオンデマンドで提供されるようになるはずだ」と語る。これはちゃんとした調査に基づいた発言というより、希望的観測や熱心な売り込みに聞こえる。ホスティングアプリケーションが、CRM市場の一部で人気を獲得しつつあるが、これは、どんな企業にでも適しているわけではない。

 例を1つ挙げよう。Athena Healthは、かなり早い時期に250人のユーザー用にSalesforceを導入した。だが、同社は最近になって、Salesforceから、社内に設置するオープンソースアプリケーションであるSugarCRMに移行し始めた。Athena HealthのCTOであるBob Gatewoodによると、ユーザーサポートの情報を担当部署に回したり追跡したりする際に、Salesforceでは処理の限界に突き当たるようになってきたという。また、ユーザーをサポートする作業に携わる社員のためにユーザーライセンスを追加しなければならなかったことも理由の1つだ。SugarCRMを使ってCRMの機能を社内開発したソフトウェア「athenaNet」に統合するほうが、簡単でより経費がかからないという結論に達した。価格だけでみても、社内に設置するSugarCRMは1ユーザーあたり14ドルであるのに対して、オンデマンドのSalesforceは100ドルかかる。それよりも重要なのは、コードを自由に操作できるかどうかだったとGatewoodは述べる。

 「アカウントデータオブジェクトに対するうちの会社の視点はSalesforceの視点とは根本的に異なる。そういうレベルまでSalesforceをいじることはできないので、逆にわれわれの作業のやり方をSaleforceに合わせなければならなかった。」(Gatewood)

 Athena Healthにとって、機能性や、他システムとの統合のしやすさ、データ構造を変更できるかどうかは非常に重要なポイントであった。また同時に、同社には製品レベルのシステムを構築して展開するだけの専門能力があった。同社の方法だと、月間契約料を支払わなくて済むので、その分節約になるが、ソフトウェアをカスタマイズするために開発者に支払う経費がかかる。しかし、これはSalesforceから抜け出す代価であり、Athena Healthにとっては、これだけの代価を支払う価値があった。

 Salesforceの新製品は、アプリケーションのカスタマイズがより柔軟にでき、複数のアプリケーションを同時に実行することもできる。だが、オンデマンドを選択するか否かは単に技術の問題ではなく、企業の文化に関わる問題だ。しかも、企業が自社所有のインフラから抜け出してオンデマンドCRMに移行するには、3年どころかそれ以上の月日がかかる。

 追記:ところで、Athena HealthとSugarCRMの双方に、ベンチャーキャピタル投資企業Draper Fisher Jurvetsonが投資している。

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